公開フォラム

  
  
  
  
  
  
  

■第26回 公開フォラムの予告
■木の建築サロン講座
■第6回研究集会のご案内
■国民森林会議共同シンポジウムの報告
■第5回 木の建築フォラム研究集会/東京 報告

■第19回通常総会・会員活動ギャラリー、第26回公開フォラム 予告

2020年6月7(日) 東京大学弥生講堂にて開催

 第19回通常総会及び会員活動ギャラリーは2020年6月7日(日)、東京大学弥生講堂にて開催されます。
 会員活動ギャラリーのプログラムとして「展示パネル討論会」、「木の建築賞表彰式」を計画中です。
 会員活動ギャラリー終了後には第26回公開フォラムを行います。今から6月7日のスケジュールを空けておいていただき、当日は奮って御参加下さいますようお願いいたします。
 会員活動ギャラリーの「展示パネル討論会」ではフォラムの活動報告や、会員の皆様が普段取り組んでおられる業務を紹介する場を設けておりますので、出展をお考えの方々はご準備をお願いいたします。
 第26回公開フォラムに関しては、現在企画を練っているところです。ご期待ください。
 また、会員活動ギャラリー及び公開フォラムの企画運営に携わるボランティアを募集しております。興味のある方はフォラム事務局までお問い合わせください。

(総会事業幹事 杉本健一)

■木の建築サロン講座
深尾精一「各地域で取組む木造建築に期待する」

 日 時:2019年11月22日(金)18:00〜20:45

 会 場:文京スカイホール(東京都文京区春日1-16-21文京シビックセンター26階)

 会 費:(資料費・飲食費込):木の建築フォラム会員4,000円、一般4,500円、学生2,000円

 定 員:45名程度

 申込用紙:PDF

 主 旨:
 深尾精一氏はこの数年、日本木材青壮年団体連合会主催の木材活用コンクールの審査委員長として、各地域の木造建築の取組を地域背景とともに見てこられました。一方で、海外のCLT建築物等の最新木造建築物も多く視察、最新の木造建築事情に紹介したいことや語りたいことが蓄積されています。
 今、木材の様々な研究成果による法改正等にて中大規模木造建築の可能性が拡がる中、いかに木の良さや木材の活用が拡がるか、豊かな暮らし方・文化に繋がるか、デザインの力、工夫の技術力が求められています。
 90分程度で木造建築と木材の用い方が国ごとの違いや共通点など、地域性特徴などを話していただき、その後、参加者とのディスカッションを進めます。

岩手県大槌町文化交流センター「おしゃっち」
岩手県大槌町文化交流センター「おしゃっち」
「おしゃっち」イベントルームの天井
「おしゃっち」イベントルームの天井
大船渡消防署 住田分署
大船渡消防署 住田分署
木の建築サロン講座とは、講師のお話を聴きながら講師と参加者がより身近な立場でディスカッション・意見交換しやすい環境を目指した講座です。サロン的な雰囲気で軽食、飲み物などを準備します。

 講師プロフィール:
 深尾精一氏(首都大学東京 名誉教授)
1949年生まれ。東京大学建築学科卒業、同大学博士課程修了。東京都立大学助教授、同大学教授を経て現在に至る。専門分野は建築構法計画。研究テーマは、集合住宅の構法(特に内装構法)に関する研究、木造構法の合理化に関する研究、外周壁構法に関する研究、建築設計と建築生産における寸法調整に関する研究など。 主な受賞に、1996年度日本建築学会作品選奨「実験集合住宅NEXT21の設計」(共働)、2001年度日本建築学会賞論文賞「寸法調整におけるグリッドの機能に関する研究」、1999年度日本建築学会作品選奨「繁柱の家」。 主な著書に、『建築構法』(市ヶ谷出版・共著、1981年)、『建築ヴィジュアル辞典』(彰国社・共訳、1998年)、『図解建築工事の進め方 木造住宅』(市ヶ谷出版社・監修、2002年)、『住まいの構造・構法』(放送大学教育振興会、2004年)。 主な作品に、「繁柱の家」、「実験集合住宅NEXT21」(共働)、「武蔵学科学情報センター」(共働)。

■NPO木の建築フォラム主催 第6回研究集会+現地見学会inもがみ林業・製材地域間連携で拓く中大規模木造建築と大径木活用の未来

−生業の生態系の保全を目指して−

 日本では、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が2010年に施行されてから、中大規模の木造建築に大きな関心が集まっています。この法律は、国産材を使用して住宅だけでなく中大規模建築も建設を進めていこうという内容です。最近は、中大規模の木造建築を建設できるようにするための研究開発が進んできており、都市部においても中大規模木造建築を建設できるようになりました。また、日本に於ける森林資源量は、この半世紀で約2.6倍に増加しており、人工林の51%半数以上が10齢級(45〜50年生)も越えており、本格的に利用する時期を迎えています。
 一方で、中大規模木造建築に使用する大径木の生産供給には、長伐期大径木生産を続けるための林業、大径木の製材や乾燥、JAS規格にのっとった含水率や強度の実現など、様々な課題が存在しています。
 今回の研究集会では、中大規模木造建築に使用する金山杉育林技術体系に基づいて長伐期大径木生産を続けまた林業成長産業化モデル事業にも取り組んでいる金山町の林業の実情、大径木の製材、乾燥を取り巻く設備や技術面の現状や課題を題材として、大径木活用に際して望ましい伐期や製材、乾燥工程からプレカット加工までにいたるまでの調達工程を考慮した上での調達計画のありかた、また、日本各地の産地から首都圏などの消費地に向けた中大規模木造建築用材の安定供給に向けた生産者の連携の必要性など、幅広い議論をおこないます。

 日 時:2019年7月19日(金) 13:00〜17:00

 会 場:新庄市民文化会館小ホール(山形県新庄市堀端町4-67)

 主 催:NPO木の建築フォラム

 申込用紙:WORDPDF

 後援(予定):
国土交通省、林野庁、山形県、新庄市、金山町、最上地域林業振興協議会、山形県建築士会、(一社)文化遺産を未来につなぐ森づくり会議

 協 賛:
(株)ヤマムラ、最上金山森林ノミクス推進協議会、金山町森林組合、去O英クラフト、(株)庄司製材所、二宮木材(株)、ナイス(株)、ノースジャパン素材流通協同組合、木の建築フォラム第6回研究集会を応援する会

 参加費:無料(資料代1,000円)

 プログラム:
13:00〜13:10 <開会挨拶>
松留愼一郎(NPO木の建築フォラム理事長)
長野麻子(林野庁林政部木材利用課長)
13:10〜13:40 <講演1>
三井所清典((株)アルセッド建築研究所所長)
「生業の生態系の保存と林業・製材」
13:40〜14:10 <講演2>
稲山正弘(東京大学大学院教授)
「一般流通材を用いて中大規模木造をつくる設計手法と課題」
14:10〜14:30 <事例報告1>
狩谷健一(金山町森林組合常務理事)
「当組合における林業・製材の取組」
14:30〜14:50 <事例報告2>
西村研/(株)ヤマムラ常務取締役、寺崎洋子/(株)ヤマムラ建築部課長「公共木造建築における木材コスト事例とJAS」
休憩(10分)
15:00〜16:30 <パネルディスカッション>
「林業・製材地域間連携で拓く中大規模木造建築と大径木活用の未来」
コーディネーター:前田力((株)ヤマムラ取締役)
パネラー:
杉井範之(金山町森林組合営業企画)
二ノ宮泰爾(二宮木材株式会社取締役専務)
有馬孝禮(東京大学名誉教授)
三井所清典((株)アルセッド建築研究所所長)
稲山正弘(東京大学大学院教授)
16:30〜17:00 <まとめ>
有馬孝禮(前掲)

<全体スケジュール>
懇親会
日 時:7月18日(木) 18:00〜
場 所:
ニューグランドホテル新庄(山形県新庄市若葉町4-23、TEL 0233-23-1111)JR新庄駅徒歩5分
会 費:4,000円、(前日泊申込みの方の宿泊費は、税込5,940円)

見学会
日 時:7月19日(金) 9:15〜12:30
集 合:7月19日(金) 
8:45 (株)ヤマムラ本社製材工場(ホテル宿泊者は送迎バスにて移動、自家用車での来場可)
新庄中核工業団地へバス移動(希望者は自家用車で移動可)
(連絡先 (株)ヤマムラ本社製材工場、山形県新庄市福田711-6、TEL 0233-23-4315)
9:15〜11:00 新庄中核工業団地の木材カスケード利用視察
((株)ヤマムラ本社製材工場、(株)協和木材新庄工場、もがみバイオマス発電(株))
金山町へバス移動(希望者は自家用車で移動可)
11:30〜12:30 金山杉の森林(大美輪など)および日輪舎の見学
新庄市民文化会館へバス移動(希望者は自家用車で移動可)
昼 食:新庄市民文化会館
費 用:無料(昼食用お弁当代込み)

研究集会
日 時:7月19日(金) 13:00〜17:00
会 場:新庄市民文化会館(山形県新庄市堀端町4-67)
帰 り:新庄駅までバス送迎(無料) 18:43新庄発の山形新幹線を想定

■NPO木の建築フォラム主催 研究集会 報告

熊本地震にみる木造住宅の被害
─私は見た そして 私は云いたい─

 日時:2016年12月10日13:00〜16:50
 会場:東京大学農学部アネックスセイホクギャラリー

 4月14日夜に続いて16日未明に起きた熊本地震は熊本県西原村と益城町に震度7を観測する極めて強い揺れをもたらし、その後も余震が続く中で多くの木造住宅が被災しました。活断層型地震で直下に近く、しかも浅く表層地震断層にそって被害が発生。
 構造系専門家達が詳細な調査に入り、被害建築物の建設時期や構造種別、階数、用途等から破壊パターンを分析して、倒壊は木造が80%を占め、新耐震以前の古い住宅が多かったとの報告が発表されています。
 研究集会では基調講演を含む6名のパネリストによる「現地での体験から云いたいこと」をキーワードに設計者、工務店、木構造研究者という異なる立場で「熊本」から学ぶべきことを主張し合っていただきました。
 基調講演の槌本氏自身も前震直後に調査のため現地入りして、南阿蘇の宿泊地で本震に遭遇し、大揺れの最中に逃げるのは不可能と実感された。その体験を踏まえて宿泊地周辺や、黒川地区の共同住宅の被害報告と主な対象である益城町の木造被害状況の分析結果を報告されました。
 実は熊本県地方は過去にも何度か地震に見舞われており、1625年、1700年代、1889年の記録がある。150年前後の間隔で今回も130年ということになります。

会場の様子

 続いてパネリストとして熊本で設計及び伝統的建築物の保存活動をされている宮野氏、耐震診断を行う工務店の金井氏、悉皆調査をされた大分大学の田中氏、木造住宅の耐震性能面から宮澤氏、基準法、性能表示との関連から大橋氏の5人による独自の主張を河合氏がコーディネートされました。

宮野桂輔氏:
空き家の250坪の古民家を改築した自宅兼事務所が本震で倒壊しました。建物は熊本市内、熊本城のほぼ南側に位置する旧城下町(新町・古町)で明治前期の伝統的な民家などの街並みが残っている街区一角にありました。余震で一部傾いた壁が本震で何度も揺すられ、つぶれてしまったのです。当時は家に居たが、神がかり的な状態で無事でした。近隣の同様な民家は壊滅的被害を受け、現在はほぼ解体されて更地状態です。2008年の調査で相当数点在していた古い町屋は毎年減少していたが、今回、姿を消してしまいました。熊本では風水害は常に念頭にあるが、過去の地震は共有認識されていませんでした。

金子義雄氏:
工務店経営で設計、施工と共に耐震診断を行っています。新潟県中越地震から建築ボランティアで応急診断等罹災証明調査に参加して以降、各被災地へ地震直後に出向き、解体前の住民の建築相談等で協力。熊本地震においても我が目で被災状況を確かめたことが実態を認識できたと思う。被災住宅の公的解体やそれらの壊れ方から施工とは何かを考えています。

田中 圭氏:
学会九州支部と国総研、建研の協力体制での益城町における悉皆調査を行い、調査データ分析を行っています。建築確認台帳データ、聞き取り調査結果、各年代の航空写真から建築年代を精査、構造種別及び被害レベル精査などを行っている。現在の分析のまとめとして、1981年以前の旧耐震基準建物が約1/3、2000年以降の建築物の2割が被害を受けています。構造種別は木造が84%、80%以上が戸建て。全壊した建物の割合は全体では24%であるが、1981年以降では減少し、特に2000年以降は6%となっています。

宮澤健二氏:
2000年以降の建築物の被害から見えて来た木造住宅の限界耐震性能と問題点をみる。
木造住宅8事例の被害特徴から次の課題を取り上げます。

  1. 地震動の特徴と設計地震力
  2. 地盤問題
  3. 筋かいの品質、施工
  4. 直下率
  5. 柱脚の接合
  6. 二次元、三次元挙動
  7. 壁量
  8. 構法と制度の複雑化
  9. 基準法の改善すべき点

大橋好光氏:
基準法仕様規定での壁量設計の問題点整理からこれからの設計を考えるべきで今からの住宅は性能表示上の等級3の性能が必要と考えています。

  1. 仕様規定での必要壁量は足りない
  2. 性能表示上の必要壁量に対応させる
    1. 多雪区域の割増
    2. 地域係数の考慮
    3. 部分2階建ての考慮
    4. 床面積のあり方
    5. 準耐力壁の扱い
  3. 筋かい耐力壁の課題と壁倍率の扱い

 各自の専門分野から主張いただき、その後補足説明が加えられました。地元の宮野氏からは伝統的木造の壊れ方と修復の方法、金井氏からは住民の解体意識など。

パネラーの様子

最後に坂本功氏からのまとめをいただき、概要は次のようになります。
「私は見た」ということでは現地に行ってはじめて分かることが沢山あるという意味で実感がありました。しかし行ったために誤解を生じることがあり、分からなくなってしまうことがあります。「私は云いたい」については皆が押さえた発言だと感じましたが、根拠を克明にしたのはよかったと思います。
今回は、国側の調査で槌本氏、現地で自宅も被災された設計者の宮野氏、耐震診断を行っている工務店の金井氏、学会で中心となって悉皆調査された田中氏、耐震の専門家の宮澤氏、大橋氏ということで役者が一通り揃った感があります。私自身の関心は新耐震で想定している地震動、阪神淡路大震災のJR鷹取の記録、今回の被害の中心地の記録から比べてみると、今回の地震破壊力は新耐震で想定している地震動の1,5〜2倍ではないか。それでも2000年以降の住宅の倒壊が7棟しか確認されなかった。地震動のスペクトルから見る限り、場所にもよるが本震では新耐震の2〜3倍の地震動に揺すぶられたと思います。構法や壊れ方など詳細はいろいろな経緯はあるが、基準法とか新耐震基準とかの枠を超えて、現在相当に進んでいる知見で、木造建築の耐震性能を見直すのはどうか、耐震設計、構造計算のやり方などを検討していくのはどうかと話されました。
 また、現地ではこれからの課題として、宮野氏、田中氏の報告から、熊本では復興計画が既に示され、再建計画の区画割り変更もあるようです。その中で現地では木造住宅は弱い、怖いという風評が流れているようで、木造関係者は連携を取りながら、街並みのイメージ、良質な木造住宅の建設をアピールしていかなければと感じました。そのためにフォラムとして何ができることがあるかを考えていきたいです。
 研究集会は100名を超える参加者が、最後まで熱心に聴かれて大変盛況でした。有り難うございます。

           

■NPO木の建築フォラム主催 研究集会

熊本地震にみる木造住宅の被害
─私は見た そして 私は云いたい─

【主旨】
 4月14日夜に続いて16日未明に起きた熊本地震は熊本県西原村と益城町に震度7を観測する極めて強い揺れをもたらし、現在も余震が続いています。
 熊本地震は直下による活断層型で、しかも震源深さが浅い。その後1ヶ月以上にわたる余震が頻繁に発生、木造住宅は何度も揺すられた結果、当初持ちこたえた傾きが進み、被害を大きくしていきました。 兵庫県南部地震以来、神戸における地震動記録は木造住宅の振動台実験の代表的な入力地震動になっています。その結果「新たな対策が必要だ」など様々な見解が出ています。また、いずれの地震の場合も、住宅の老朽化、耐震壁の配置のバランス悪さ、瓦屋根の重さや伝統的な住宅の足元の弱点など、課題は共通です。
 ここでは前震直後から、熊本にて支援活動も含め実態調査をした木造関係者達が、自らの目で確かめた状況への思い、こうあるべきだと考えたことを発言し、これからの木造建築の安全性についてみんなで主体的に語り合う会にしたいと思います。

 日 時:12月10日(土)  13:00〜16:45(3時間45分)  12:00〜 受付

 会 場:東京大学農学部内 アネックスセイホクギャラリー

 定 員:100名

 参加費:3,000円 (資料代込)

 申込用紙:WORDPDF

 プログラム:
【挨 拶】木の建築フォラム理事長 安藤邦廣

【基調講演】
 「2016年熊本地震における実体験と木造被害の分析」
  槌本敬大 国立研究開発法人建築研究所

【パネルディスカッション】
 コーディネート:河合直人 工学院大学教授
 パネラー
 ・宮野桂輔 高木冨士川計画事務所 宮野スタジオ代表(熊本市)
  ─木造建築を遺せるか─所有者たちの闘いを支えて
 ・金井義雄 金井工務店(川口市) 
  ─地震被災地で教えられて〈耐震診断・耐震補強にどう活かすか〉
 ・田中 圭 大分大学准教授
  ─益城町の悉皆調査による被害統計からわかる木造住宅の耐震性能
 ・宮澤健二 工学院大学名誉教授
  ─見えてきた2000年以降の木造住宅の限界耐震性能と問題点
 ・大橋好光 東京都市大学教授
  ─熊本地震と木造住宅の耐震基準の考え方

【まとめ】坂本 功 木の建築フォラム前理事長 東京大学名誉教授

■国民森林会議共同シンポジウムの報告

 森林管理と建築から考える大径材の利用

 戦後の拡大造林によるスギ、ヒノキが50〜60年生となり、成熟期を迎えたとされる。素材のJAS規格では径14cm未満を小の素材、14〜30cmを「中の素材」、30cm以上を「大の素材」とし、30cm以上の丸太は大径木となる。建築分野では今、中大径材の活用方法が課題となっており、低層公共建築物への木材使用への法改正、耐火構造への技術、CLTの開発等スギ、ヒノキを中心とした木材活用の場が拡がってきた。今回のシンポジウムではこうした背景での森林の適正管理とその活用方法がテーマであった。当フォラムの安藤氏が建築の立場から地域の連携取組事例から木材の活用を、他のパネリストは主に森林管理の立場から、話が進められた。
 まず、赤堀氏から国産材の利用は年々伸びているが、ニーズが高いのは合板、集成材やバイオマス向けで加工材が主流である。本来の良質木材の活用とした構造材、製材は伸びていない。それは木材全体のコストを下げ、中大径木の価値を下げている。
 大久保村長はご自分達の長野県根羽村を例示して、村が限界集落化に向かう中、全戸が森林保有者で山づくりの熱意が高く、地域木材のブランド化を目指して立ち上がり、木材生産→木材加工→販売・利用を連携、森林を地域資源としてトータル林業の確立を報告された。全村民からなる森林組合は設計者、工務店と事業パートナーを組み、商品開発などノウハウの有機的な結合が特徴である。2015年の木の建築賞受賞されている。
 安藤氏はご自分が関わった喜多方市立熊倉小学校体育館を紹介、「100年杉で雪国での100年の建築」を説明された。スギ中大径木の製材で梁間18mの空間を形成。地域の木材、製材所、工務店の連携でコストダウンと地域還元ができた。今、スギ人工林の中大径木の豊富な時代で6寸角、8寸角材が中心となり、公共建築などで木材流通を促していく突破口になればと考える。
 村田氏はこれまでの大径木は、その目的で育てられた丸太材であったが、今後供給される殆ど大径木が需要不足などで柱適寸材より太くなった人工林のものが多い一般材(並材)で材価も低い。しかし国産大径木の利用拡大には軸組構法での横架材や枠組壁構法構造用製材への一般材が必要である。日本の製材工場は小中径を効率的に製材するラインが多く、これからは大径木専用の製材ラインの開発と普及が求められると話された。
 以上の講演の締めで、藤森氏は林業経営の基本は持続可能な社会の構築⇔地域毎の生態系を逸脱しない循環型社会⇔森林との持続可能な付き合いで、森林管理の基本は目的に沿って管理することである。森林には大きくは生産林(木材生産→経済林と生活林)と環境林(水土保全、生物多様性の保存など)があるとしてあるべき生産林の姿、長期的な森づくりの考え方を話された。この生産林と環境林の共存は主伐期を80年生以上に設定し、多間伐や択伐での多様な材の利用を図れば、造林・保育コストを相対的に下げることができ、経営的に有利。また、環境的にも望ましいものとなる。一番の問題は、大径材の適正な評価と利用拡大を得られるかという点を指摘された。
 参加者は林業系関係者や森林に関心の強い当会員が多く、森林・林業の未来には大径材の適正な評価と利用方法が課題であることが良く理解できました。

(文責:片岡泰子)

パネリストの皆様

■森林管理と建築から考える大径材の利用 <終了しました>

主催 国民森林会議 共催 木の建築フォラム

戦後の拡大造林によるスギ、ヒノキの人工林が50〜60年生となり、成熟期を迎えたとする見方が一般的です。スギ、ヒノキの主伐期は、昭和30年代前半まで80年生以上とされていました。この考え方が崩れたのは、都市の膨大な建築需要に応える必要があったのと、人工林の戦後の調査から40年生から50年生ぐらいで成長率のピークを迎えるという観測がされたためでした。
 しかし、近年の調査では、よく管理された人工林では、80年生になっても成長は旺盛で、蓄積も1000m3/ヘクタールを超えるものが多くあることが判明しています。100年生としても、その間の平均成長量が年10m3/ヘクタール程あったことになります。
 主伐期を80年生以上に設定し、多間伐や択伐で多様な材の利用を図れば、最もかかる造林・保育コストを相対的に下げることができ、経営的に有利。また、多面的機能も発揮しやすくなり、環境的にも望ましいものとなります。問題は、大径材の適正な評価と利用の広がりを得られるかという点にあります。そこでこのシンポジウムでは、森林・林業の可能性を知り、大径材の評価と利用について考えることを目的に開催します。

日 時: 2017年11月4日(土) 10時〜16時
場 所: 林野会館 中ホール (文京区大塚3-28、丸ノ内線茗荷谷駅下車、徒歩7分)
定 員: 120名
参加費
(予定):
500円(資料代として)
申込用紙: 国民森林会議共同シンポジウム 申込書 PDFWord
パネリスト: -藤森隆郎(国民森林会議 会長)
「森林経営の基本は何か」
-大久保憲一(長野県根羽村 村長)
「林業の振興をどう図るか」
-赤堀楠雄(林業ジャーナリスト)
「近年の木材流通と森林・林業」
-村田光司(森林総合研究所 研究ディレクター)
「大径一般材利用の技術的課題」
-安藤邦廣(NPO木の建築フォラム 代表理事)
「木の建築フォラムの取り組みとスギ大径を活用した建築の可能性」
申込方法: 申込用紙に必要事項をご記入いただき、事務局へメール又はFAXにてお申込ください。
NPO木の建築フォラム事務局
TEL:03-5840-6405 FAX:03-5840-6406
E-mail:office@forum.or.jp

■木の建築フォラム後援 栃木シンポジウム <終了しました>

CLT工法と中大規模木造建築の可能性 −地方自治体での進め方−
【主旨】近年、「公共建築木材利用促進法の施行」や「クロスラミナティンバー(CLT)工法の開発」など、国は、中大規模木造建築の普及促進に力を入れています。そして、これに応えるように、若手の建築家・構造技術者を中心に、木造による新しい架構や形態が提案されています。一方、国内の木材生産の経営は厳しい状態が続いているが、CLT工法・中大規模木造建築の普及で、日本の林業が活性化することが期待されています。
今回は、栃木県を舞台に、県の林業の現状を踏まえつつ、CLT工法及び中大規模木造開発の現状と可能性を学び、地方自治体がどのように取り組めば良いのか、その可能性を探ることを目的としています。是非ご参加下さい。

■日 時:2016年11月12日 土曜日

■会 場:
 コンセーレ(一般財団法人栃木県青年会館)
 〒320-0066 栃木県宇都宮市駒生1-1-6

■主 催:栃木県木材需要拡大協議会 栃木県環境森林部

■後 援:NPO木の建築フォラム 他

■詳 細・申込用紙:PDF

【講演者・パネリスト等】(敬称略)
 大橋 好光(東京都市大学/教授)
 中島 浩一郎(銘建工業/代表取締役)「CLT開発の現状と可能性」
 中島 史郎(宇都宮大学/教授)「パリ協定と木質材料〜CLT〜」
 大野 英克(栃木県環境森林部/課長補佐)
 香月 英伸(農林水産省 大臣官房政策課/調査官)
 早川 孝男(テクノウッドワークス(株)/代表取締役)

 ◆過去の公開フォラム

−資料集購入はこちらから−

第25回 東京  『木の未来をひらく中高層木造』
第24回 東京  『災害をのり越える林業と木の建築』
第23回 東京  『今、求められる木材乾燥とは』
第22回 東京  『火事に負けない木造の福祉施設・幼児施設をつくる』
第21回 京都  『京都の夏を旨とした住まいにならい、地域型住宅の省エネルギーを探る』
第20回 東京  『製材による中大規模木造建築』
第19回 東京  『伝統的木造住宅はどこにむかうか』
第18回 東京  『これからの木の学校建築』
第17回 東京  『伝統的木造住宅と省エネルギー』
第16回 越後妻有  『越後杉 現代の匠と文化−水と大地に寄り添う暮らしと復興−』
第15回 能代    『地域の木の学校づくり』
第14回 つくば   『よくわかる木のはなし―木材および木質材料に関する知恵と知識―』平成22年度 木のまち・木のいえ整備促進事業成果報告(詳細) pdf
第13回 東京    『伝統構法木造住宅の構造計画・構造設計』
第12回 東濃    『木造住宅の温熱環境と省エネルギー』
第11回 東京    『木造建築の防耐火性能-性能規定導入後の展開・設計事例と今後の課題-』
第10回 木曽    『木曽の檜と技と知恵』
第09回 尾鷲    『地域材を生かした家づくりと生産ネットワーク』
第08回 京都    『京町家 「京風」探索〜「京町家再生」〜』
第07回 都城    『オビスギにみる現代技術によるスギ材の利用とその展望』
第06回 掛川    『木の文化のまちづくり』
第05回 岩国    『錦帯橋架替工事のすべて』
第04回 愛媛    『私の育てた木を使ってください』
第03回 遠野    『森とともに街と住まいを考える』
第02回 郡上八幡 『伝統的な町並みの防火対策』
第01回 金沢    『森と木のまちに循環するものづくりの心・技』


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 ◆過去の研究集会

−資料集購入はこちらから−

第04回 日田     『森と文化を未来につなぐ』
第03回 長崎・五島 『教会建築・歴史と自然環境を生かした島づくり』
第02回 太子町    『地域で修復のプロを育てるしくみ』
第01回 秩父三峯  『「古建築・森林・技術」〜秩父三峯神社の100年先を考える〜』


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