■ 2013年度 講習会/後期
2012年度からの講習会について内容を再構成し、材料から各種性能、設計例まで、木造建築物の設計、施工等に必要な基礎知識と最新の情報を網羅した体系的な講座構成の新講習会をスタートしました。10月からは2013年度開講の後期講座が始まります。皆様ふるってご参加ください。
(講習会事業幹事 河合直人)

■ 全体構成
講座は入門編、基礎編、応用編に分けて同時開催。
<入門編>
対象者:学生、木造の初学者、住み手等
参加費:2,000円(14回分)(社会人は別途)
14回(原則90分)の講座を3講座用意(初級、中級、上級)。年間、そのうち2つ実施。
<基礎編・応用編>
対象者:木造建築にかかわるすべての人
参加費:1講座2万円〜3万円程度。
基礎編と応用編はそれぞれ6講座を用意し、隔年で3講座づつ、年合計6講座を開設(2年間で全12講座を開設)。原則として基礎編は年度前半に、応用編は年度後半に開講。各講座は年4〜6回(90分×2コマで1回)。
■ 講座概要
<基礎編/6講座> = 性能項目ごとの講座
2013年度は基礎編(4)と(6)を開講します。
▼前期講座
- 基礎編4. 木造建築の防耐火設計
内容:基準解説、事例紹介、住宅系、非住宅系、耐火木造
- 基礎編5. 木造建築史 ─ 中止 ─
内容:木造建築の歴史、民家の歴史、文化財保存、歴史的街並
- 基礎編6. 海外木造建築紹介
内容:世界各地の木造建築の紹介
*基礎編(1) 木質材料・耐久性、(2) 木造住宅の構造設計、(3) 住宅の温熱環境・設備の3講座は2012年度に実施しました。次は2014年度実施予定です。
<応用編/6講座> = 建物種別、その他トピックス
2013年度は応用編(4)〜(6)を開講します。
▼後期講座
- 応用編4. 地震津波被害・耐震診断・耐震補強
内容:被害の実態、診断法の解説、補強の実務
- 応用編5. 木造住宅の設計・計画
内容:木の家をつくり続けている建築家・企業の設計手法を学び、木の家をつくる方法を考える。
- 応用編6. 伝統木造建築
内容:材料、構造、防火、室内環境、設計事例
*応用編(1)公共建築・中層木造建築、(2)木造建築の許容応力度設計、(3)木造建築の保存・活用の3講座は2012年度に実施しました。
■ 募集案内
<入門編>
下記HPに掲載の連絡先へお問合せください。
http://ohashiken.web.fc2.com/
<基礎編・応用編>
2013年度開講の前期3講座(基礎編)と後期3講座(応用編)の詳しい内容は下記をご覧ください。
お申込みはどの講座もフォラム事務局で一括承ります。参加申込方法にそってお申込みください。
■ 会場案内
・前期講座/基礎編(4)、(6)の会場
AGC studio(旭硝子ショールーム内)
住所:東京都中央区京橋2-5-18 京橋創生館2階
Tel: 03-5524-5511 Web:http://www.agcstudio.jp/
アクセス:地下鉄京橋駅の出口すぐ、またはJR東京駅八重洲南口より徒歩10分
・後期講座/応用編(4)〜(6)の会場
AGC studio(旭硝子ショールーム内)※上記に同じ
■ 2013年度・前期日程 ─ 終了しました ─
<講座一覧>
計5回(90分2コマ/1回)
定 員:40名
受講料:一般3万円、会員2万5千円(※5回通し)
【主旨】2000年の改正建築基準法施行により木造による耐火建築物が可能となり、2010年には公共建築物等の木材の利用の促進に関する法律が施行され、これまで木造でつくっていなかった規模、用途の建物が木造化されてきている。その背景には木造の防耐火技術の進歩と実用化・法令化がある。
本講座では、木造の火災安全計画、防火法令の趣旨の解説、防耐火性能の高い木造建築事例の施工現場見学と設計法に関する講義を行い、木造の防耐火設計の基礎を習得することを目標とします。燃え方をコントロールして火災に対して安全な建物の設計手法を一緒に考えていきましょう。
コーディネーター:安井 昇(桜設計集団)
○第1回
テーマ:木造建築の防耐火設計概論 〜木造の火災安全設計と防火法令解説〜
日 時:2013年5月11日(土)13:15〜16:30
講 師:安井 昇(桜設計集団)
○第2回(フィールドワーク)
テーマ:都市木造の可能性 〜木造5階建て共同住宅現場見学〜
日 時:2013年6月1日(土)13:15〜16:30
講 師:小杉栄次郎・内海 彩(KUS)、安井 昇・佐藤孝浩(桜設計集団)
○第3回
テーマ:大規模木造の防耐火設計(1)(軸組工法)〜木造・準耐火建築物・耐火建築物〜
日 時:2013年6月29日(土)13:15〜16:30
講 師:宮林正幸(ティーイーコンサルティング)
○第4回
テーマ:大規模木造の防耐火設計(2)(枠組壁工法等)〜準耐火建築物・耐火建築物〜
日 時:2013年8月24日(土)13:15〜16:30
講 師:泉 潤一(日本ツーバイフォー建築協会)
○第5回
テーマ:住宅建築の防耐火設計〜防火木造・準耐火建築物・耐火建築物〜
日 時:2013年9月14日(土)13:15〜16:30
講 師:安井 昇(桜設計集団)
計5回(90分2コマ/1回)
定 員:40名
受講料:一般3万円、会員2万5千円(※5回通し)
【主旨】大学等で建築の歴史を学んだ方も多いと思いますが、建築の歴史は、文化財保存と深い関係をもっていることは、意外に知られていません。この講座は、建築の種別に応じて、近年の調査実例や保存実例を交えながら、木造建築の歴史を改めて学ぶことで、建築の歴史と保存との関係や保存のための課題を知っていただくことを目的にしています。
講師は、工学院大学後藤研究室で、客員研究員として、各地の歴史的建造物や街並みの調査研究や保存修復の指導をいただいている方々です。
会 場:工学院大学新宿校舎
コーディネーター:後藤 治(工学院大学)+工学院大学後藤研究室
○第1回
テーマ:寺院建築・神社建築
日 時:2013年5月11日(土)13:00〜16:10
講 師:菅澤 茂(京都府教育委員会)
○第2回
テーマ:城郭建築・住宅建築
日 時:2013年5月18日(土)13:00〜16:10
講 師:菅澤 茂(京都府教育委員会)
○第3回
テーマ:民家と町並み
日 時:2013年6月1日(土)13:00〜16:10
講 師:三浦卓也(マヌ都市建築研究所)
○第4回
テーマ:近代建築・産業遺産
日 時:2013年6月8日(土)13:00〜16:10
講 師:二村 悟(医院企画プロジェクト)
○第5回
テーマ:文化財の保存・歴史的まちづくり
日 時:2013年6月15日(土)13:00〜16:10
講 師:三浦卓也(マヌ都市建築研究所)
計5回(90分2コマ/1回)
定 員:40名
受講料:一般・会員2万5千円(※5回通し)
【主旨】この講座は、世界の木造建築の多様性と奥深さを認識して頂くと共に、木造建築に対する興味を広く喚起する目的で設定されました。従いまして、一般の方々も特別に正会員と同じ料金で受講できます。架構や技術の歴史、建築素材や樹種の地域性、生活文化や社会的背景の相違など、世界中の木造建築に関わる情報が、講師の設定したテーマ・内容に沿ってビジュアルに紹介されます。専門家にとっては将来の木造建築へのヒントが、初心者には居ながらにして過去から近・現代までの世界中の木造建築が、知って学べて楽しめる新しい講座です。
コーディネーター:財満やえ子(東京造形大学)
○第1回
テーマ:世界の伝統的な木造架構とその歴史的背景−1 壁の構法とその周辺
日 時:2013年5月25日(土)13:15〜16:30
講 師:太田邦夫(東洋大学・ものつくり大学名誉教授)
○第2回
テーマ:世界の伝統的な木造架構とその歴史的背景−2 床・屋根の構法とその周辺
日 時:2013年6月22日(土)13:15〜16:30
講 師:太田邦夫(東洋大学・ものつくり大学名誉教授)
○第3回
テーマ:世界の茅葺民家の紹介と比較
日 時:2013年7月27日(土)13:15〜16:30
講 師:日塔和彦(文化財建造物修復技術者)
○第4回
テーマ:ユーラシア大陸の西と東の建築技術と道具の比較発達史
日 時:2013年8月31日(土)13:15〜16:30
講 師:渡邉 晶(元竹中大工道具館学芸部長)
○第5回
テーマ:最新木造建築の紹介と今後の方向
日 時:2013年9月28日(土)13:15〜16:30
講 師:安村 基(静岡大学農学部教授)
講座事務担当:緒形多江子(緒形建築設計室)
2013年度 前期講習会の報告
■基礎編(4)「木造建築の防耐火設計」講座
火災安全計画や防火法令の視点から木造建築を捉え、木造建築の防耐火設計の基礎を習得することを目的として、全5回で講習会を開催致しました。各講習会では下記5つのテーマで、小杉栄次郎氏、内海彩氏、佐藤孝浩氏、宮林正幸氏、泉潤一氏及びフォラム理事・安井昇氏にご講演頂きました。
第1回:木造建築の防耐火設計概要
第2回:都市木造の可能性(フィールドワーク)木造5階建て共同住宅現場見学
第3回:大規模木造の防耐火設計(1)(軸組工法)
第4回:大規模木造の防耐火設計(2)(枠組壁工法等)
第5回:住宅建築の防耐火設計
2000年の法改正により多様な規模・用途での木造化が可能となるなか、その防耐火設計の手法や性能は、木造建築の設計を実務としていてもなかなかわかりづらいとされる分野です。そこで本講習会では、住宅建築から大規模建築まで、防火法令の趣旨やその根拠となる実験の検証結果の解説、施工事例の現場見学等を通し、木造建築の防耐火設計の基礎と今後の展望についてお話し頂きました。
また本講習会は、遠方から参加頂いた方も多く、防耐火設計に興味を持たれる32名の方に受講して頂きました。今回の講習会や懇親会をきっかけに、火災に対し安全な建物の設計手法を一緒に考えて頂ければ幸いです。
(講習会事務担当:加來千紘)
■基礎編(6)「海外木造建築紹介」講座
この講座は、世界の木造建築の多様性と奥深さを知って頂き、木造建築に対する興味を広く喚起する目的で、今回初めて開設されました。
第1回と第2回は、太田邦夫氏による「世界の伝統的な木造架構とその歴史的背景」と題して、壁と屋根の構法をその周辺を含めて取り上げて頂きました。第3回は日塔和彦氏に「世界の茅葺民家の紹介と比較」を、第4回は渡邉晶氏に「ユーラシア大陸の西と東の建築技術と道具の比較発達史」を話して頂きました。最終回は安村基氏に「最新木造建築の紹介と今後の方向」と題して、欧米における最新の動向を紹介して頂きました。
参加者は15名と定員には及びませんでしたが、半数以上が非会員の参加者だったことで当初の目的は達せられたと云えます。非会員の方々に入会して頂けなかったのは残念ですが、岡山や福井や京都など遠方からの参加者があったことは、大変ありがたいことでした。受講者アンケート(回答率50%)によれば、周辺知識が身に着いたと回答された方が多く、仕事に直接役立つと回答された方もあり、講習内容には大方満足された様子です。一般参加者からの「門外漢でしたが良く分り、新しい興味がわいてきた」との回答には救われます。
(コーディネーター:財満やえ子)
■ 2013年度・後期日程
<講座一覧>
◆応用編4「地震津波被害・耐震診断・耐震補強」講座
計5回(90分2コマ/1回)
定 員:40名
受講料:一般3万円、会員2万5千円(※5回通し)
【主旨】木造建築物の耐震設計の考え方は、明治以降、実際の地震被害に謙虚に向き合うことから出発して、工学的な知見を加え、基準法の壁量規定、その他の仕様書的規定に結びついている。耐震診断法もその考え方を踏まえて策定されている。しかしながら、近年でも木造住宅等の地震被害は少なからずあり、既存木造住宅の耐震診断、耐震改修の必要性が高い状況は変わっていない。また、東日本大震災以来、津波も大きな課題となっている。本講座は、木造建築物の過去の地震被害、津波被害をもう一度腰を据えて見つめ直し、耐震診断法及び耐震改修技術について学ぶことを通して、既存木造建築物の耐震化、地震被害の軽減化について、ともに考える場を提供する。
コーディネーター:河合直人(工学院大学)
○第1回
テーマ:福井地震までの地震被害
日 時:2013年10月25日(金)18:00〜21:00
講 師:腰原幹雄(東京大学生産技術研究所)
○第2回
テーマ:近年の地震被害
日 時:2013年11月15日(金)18:00〜21:00
講 師:安村 基(静岡大学)、河合直人(工学院大学)
○第3回
テーマ:東北地方太平洋沖地震の被害
日 時:2013年12月20日(金)18:00〜21:00
講 師:荒木康弘(建築研究所)、槌本敬大(建築研究所)
○第4回
テーマ:耐震診断法
日 時:2014年1月17日(金)18:00〜21:00
講 師:大橋好光(東京都市大学)
○第5回
テーマ:耐震補強と診断・補強の実務
日 時:2014年2月21日(金)18:00〜21:00
講 師:五十田博(京都大学)、佐久間順三(設計工房佐久間)
◆応用編5「木造住宅の設計・計画 〜木の家をつくる方法-設計から現場まで〜」講座
計5回(90分2コマ/1回)
定 員:40名
受講料:一般3万円、会員2万5千円(※5回通し)
【主旨】木の家を設計・監理することは、実はそんなに簡単なことではありません。工業製品ではない木材という材料を、どのように選択し調達して空間に活かすのか。施主には木の家の扱いをどのように説明するのか。構造安全や温熱環境、省エネルギー、環境配慮などの性能はどのように考えているか。山とのつながり、職人との協働の方法など、木の家をつくり続けている建築家や企業が、何を考えて設計し、どのように現場を進めているのか、興味はつきません。
この講習会では、確かな木の家をつくり続けている建築家・企業5組の方々を講師として招きます。それぞれの講師の多くの実例を見ながら、その設計手法をじっくり聴くことができる貴重な機会となることでしょう。木の家を設計している設計者にはもちろんですが、これから家を建てようとしている一般の方にもお役にたつことと思います。
コーディネーター:神田雅子(アーキキャラバン建築設計事務所)
○第1回
テーマ:住まいの思想を多くのアイデアでかたちにする家づくり
日 時:2013年10月12日(土)13:30〜16:45
講 師:栗原潤一(株式会社ミサワホーム総合研究所)
○第2回
テーマ:日本各地の地域材を生かした最高の木造住宅をつくる方法
日 時:2013年11月30日(土)13:30〜16:45
講 師:三澤文子(Ms建築設計事務所/MSD)
○第3回
テーマ:太陽と地球と樹木が人が住む環境を作る−森の恵みの家づくり
日 時:2013年12月14日(土)13:30〜16:45
講 師:落合俊也(株式会社杉坂建築事務所)
○第4回
テーマ:住友林業の家づくりとそれから−住友林業の家づくりの考え方、研究所、新たな取り組み
日 時:2014年1月25日(土)13:30〜16:45
講 師:逢坂達男、他(住友林業株式会社)
○第5回
テーマ:時を越えて住み継がれる住まい−日本の伝統技術と木の文化
日 時:2014年2月22日(土)13:30〜16:45
講 師:日影良孝(日影良孝建築アトリエ)
◆応用編6「伝統木造建築」講座
計5回(90分2コマ/1回)
定 員:40名
受講料:一般3万円、会員2万5千円(※5回通し)
【主旨】いまわたしたちが建てている建物は、伝統的な日本の家づくりの流れの中にあるのでしょうか。毎年、法制度の改正や補助事業が施行される中、わたしたちのつくる建物はどこへ向かうのでしょうか。今こそ、日本の気候風土に根差した木造建物の基本は、どこにあるのかを探る時期ではないでしょうか。
本講座では、日本の伝統木造について、構造、構法はもちろん、温熱環境や、省エネ対策、素材の扱い方について、歴史を振り返りながら、これからの実践に生かせる伝統の知恵と工夫に学びたいと思います。毎回の講座は質疑応答を充実させ、実務者の方々とともに一緒に考えてゆきたいと思います。
コーディネーター:松井郁夫(松井郁夫建築設計事務所)
○第1回
テーマ:継手仕口の変遷、限界耐力計算について
日 時:2013年10月26日(土)13:30〜16:45
講 師:河合直人(工学院大学)
○第2回
テーマ:高断熱高気密補強による古民家復権
日 時:2013年11月16日(土)13:30〜16:45
講 師:安井妙子(安井妙子あとりえ)
○第3回
テーマ:民家の架構と空間構成
日 時:2013年12月21日(土)13:30〜16:45
講 師:堀江 亨(日本大学)
○第4回
テーマ:民家造
日 時:2014年1月18日(土)13:30〜16:45
講 師:安藤邦廣(筑波大学名誉教授)
○第5回
テーマ:(仮)木造軸組構法の近代化について
日 時:2014年2月15日(土)13:30〜16:45
講 師:源愛日児(武蔵野美術大学)
※ 第2回講義(安井妙子講師)の資料『埼玉県羽生市高野家住宅 関東平野における近代』発行:阿部和建築文化研究所の購入を希望される場合、第1回講義のときに予約を受け付ける予定です。
講座事務担当:佐藤敬介(アメニティ・キッチンサトウ)
2013年度 後期講習会の報告
■応用編(4)「地震津波被害・耐震診断・耐震補強」講座
木造建築物の耐震設計の考え方は、明治以降、実際の地震被害に謙虚に向き合うことから出発して、工学的な知見を加えて修正を重ねてきました。本講座では、第1回から第3回まで、福井地震までの地震被害、近年の地震被害、東北地方太平洋沖地震の被害というテーマでじっくりと地震や津波による被害の状況を観察することから始め、これを念頭に置きながら、第4回と第5回で耐震診断法、耐震補強と診断・補強の実務について学ぶという構成としました。過去の地震被害について、これだけの時間をかけて、木質構造の研究者とともにつぶさに観察する機会はそうないのではないでしょうか。15名の参加がありましたが、過去の地震被害に照らして耐震診断法の細部の意味についての再発見をしていただけたなら幸いです。最終回に行ったアンケートでも、各回の講習内容について、「満足」、「大変満足」という方が多く、その理由として「周辺知識が身についた」、「講師から直接話が聞けた」、「仕事に直接役立つ」という答が多くありました。今後も皆様のご期待に添いつつ、講師とともに木の建築の将来を考える場にしていきたいと思います。
(コーディネーター:河合直人)
■応用編(5)「木造住宅の設計・計画」講座
〜木の家をつくる方法-設計から現場まで〜
木の家を設計・監理するにあたって、工業製品ではない木材という材料をどのように選択し調達して空間に活かすのか。施主には木の家の扱いをどのように説明するのか。構造安全や温熱環境、省エネルギー、環境配慮などの性能はどのように考えているか。山とのつながり、職人との協働の方法など、木の家をつくり続けている建築家や企業が、何を考えて設計し、どのように現場を進めているのか。この講座は、確かな木の家をつくり続けている建築家・企業5組の方々の実例を見ながら、その設計手法をじっくり聴くことができる機会となるよう企画しました。講師は、栗原潤一氏(株式会社ミサワホーム総合研究所)、三澤文子氏(Ms建築設計事務所/MSD)、落合俊也氏(株式会社杉坂建築事務所)、逢坂達男氏、他(住友林業株式会社)、日影良孝氏(日影良孝建築アトリエ)の5組でした。受講者数が少なかったことはもったいなく、惜しいですが、十数名の参加者の方々は、現在の木造住宅のリアルで多様な取組みを見ることができたのではないでしょうか。
(コーディネーター:神田雅子)
■応用編(6)「伝統木造建築」講座
昨年10月より開催してまいりました、伝統木造の講習会は毎回約30名の受講者を迎えて盛況のうちに終了いたしました。
本講習の目的は、伝統木造建築の原点に返って構法と省エネについて学び直すことでした。内容は、日本の軸組み工法の要である「継手・仕口の変遷」と壁の少ない伝統木造の構造解析の方法として「限界耐力計算法」を河合直人理事にお話しいただき、「民家の架構と空間構成」を堀江亨理事、「民家造」安藤邦廣理事のお話しに加えて、「木造軸組み構法の近代化」源愛日児氏などの和と洋の転換点に迫るテーマを取り上げ、実務者会員参加を得て、木の建築フォラムにふさわしい講座となりました。
また、いま最も関心の高い伝統構法の温熱環境について安井妙子氏の「高断熱高気密補強による古民家復権」も取り上げ、2020年に義務化される改正省エネルギー法との関連に触れ、2014年3月15日に開かれた建築学会、士会など5団体共催による「公開フォラム・伝統的木造住宅と省エネルギー」への導入につなげることもできたと思います。
本来、日本の大工技術や技能など伝統木造建築への関心は高く、本講習会では、毎回の質疑応答に時間をとったことで、新しい知見も得られたと思います。伝統木造建築をテーマにすれば、まだまだ潜在的な受講者が多くいるのではないかと感じました。
(コーディネーター:松井郁夫)
■ 参加申込方法について
○お申込みの流れ
- 参加申込書の送付
講習会の参加申込書は前期用・後期用に分かれています。
下記の申込用紙をダウンロードいただき、必要事項をご記入の上、事務局へメール又はFAXにてお申込みください。(各講座は通し受講・一括支払い)
・参加申込書(後期用)PDF・Word(.doc
/.docx)
送り先:NPO木の建築フォラム事務局
E-mail:office@forum.or.jp
/ FAX:03-5840-6406
- 受付確認
参加申込書の受領後、事務局より受付のご連絡を差し上げます。その後、初回開講日の10日前までに受講料をお振込み願います。
振込先:三菱東京UFJ銀行 築地支店(普通)1080392 NPO木の建築フォラム
※ 恐れ入りますが、振込手数料はご負担くださるようお願い致します。
※ 友の会会員の参加費は一般料金となります。
※ 賛助会員の参加費は3名まで会員料金となります。
- 領収書・受講票のお届け
開講の一週間前に、領収書・受講票・会場の詳しい案内図等をお送りいたします。開講日には受講票をお持ち頂き、会場受付までお越しください。
○キャンセルについて
取り消し・変更がある場合は各講座、初回開講日の一週間前までに事務局へご連絡ください。
○その他
各講座を受講することでCPDの単位 を取得できます(※CPD制度への登録必要)。詳しくは社団法人日本建築士会連合会のHPをご覧ください。
http://www.kenchikushikai.or.jp/cpd-new/access.html
■ NPO木の建築フォラム 特別講義 ─ 終了しました ─
建築家 内田祥哉氏「木造建築の衰退と復興」
当フォラムの前身「木造建築研究フォラム」の会長であった内田祥哉氏は建築家として又、研究者として、現在も多様な場で時代に即した建築の課題を論じ、大変なご活躍です。この度、当フォラムにおいて「木造建築の衰退と復興」について今の視点から持論を語っていただきます。
内田氏は木造建築が不遇、危機的な時代であった1986年に「木造建築研究フォラム」を発足させました。同フォラムのメンバーと共に山林、木材や木造建築に携わる川上から川下までの実務者、研究者に声がけして、各地方で地元の課題を掘り起こす公開フォラム等を開催してきました。木造建築を軸に地域おこしのきっかけづくりをはじめ、様々な木造の研究テーマを掲げながら木造建築の振興に尽力されてきました。
現在は木造建築に関した各分野の研究が進み、可能性が無限に拡がろうとしています。ご自身の建築家としての実績も含めて、我が国の木造建築環境の変遷についてエピソードを交え、木造建築の課題を広くとらえた内田流講義を期待しています。講義終了後は引き続き、内田氏を囲む懇親会です。
ぜひご参加ください。
(特別講義事業幹事 片岡泰子)
■日 時:
2013年12月6日(金)
受付開始 16:00
講義 16:30〜18:30
内田祥哉氏を囲んだ懇親会 18:45〜20:00
■会 場:
東京大学農学部内 弥生講堂 一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1)
■会 費:講義3,000円・懇親会1,000円 計4,000円(会員、非会員共通)
※学生で講義のみ参加は1,000円
■問合先:NPO木の建築フォラム事務局
TEL 03-5840-6405 FAX 03-5840-6406
Email
office@forum.or.jp
2013年12月6日(金)16:30〜18:30
弥生講堂
内田祥哉氏は建築家、及び研究者として多くの実績をもとに、現在も多様な場で時代に即した建築の課題を論じ、ご活躍中です。今回は当フォラム主催で「木造建築の衰退と復興」として、木造建築が今に至った経緯と背景を実体験の視点から語っていただきました。
- 木造建築禁止に至る
- 木材資源の枯渇と復活
- 大型木造社寺建築の衰退と復権
戦争末期の都市火災で都市の木造は大変な被害にあったが、終戦直後には鉄、コンクリート、ガラス等の建築資材不足で木材しかなく、様々な公共建築が木造で造られた。東京駅のドーム、紀伊国屋、事務所建築、逓信省建築など、戦後の復興は国産材に頼っていた。1949年頃から都市の建築物は鉄筋コンクリート造で造られるようになった。一方で高円寺、中野の木造密集地域があり、都市の不燃化が問題になっていた最中、伊勢湾台風が愛知、岐阜、三重を襲い、木造は風水害で壊滅的な被害を受けた。このような背景のもとに、国、研究者レベルで防災対策からが検討され、ついには「木造建築禁止」が決議された。以後は研究予算、教育もなくなり、木造建築が不遇、危機的な時代を迎えたのである。また、鉄筋コンクリート造の木目の美しい打ち放し型枠は国産材を消費して、木材資源の枯渇の要因になっている。この木造のどん底であった1986年に「木造建築研究フォラム」を発足させた。杉山氏、上村氏、鈴木嘉吉氏、田中棟梁など、木構造、林業、文化財、大工などの蒼々たるメンバーが集まり、山林、木材や木造建築に携わる川上から川下までの実務者、研究者に声がけして、各地方で地元の課題を堀り起こす公開フォラム等を開催してきた。取り上げてきた建築物がその後、重要文化財等の指定を受けている。(前半部分)
建築基準法が制定され、文化財保護法ができたときに文化財ではない社寺建築の補修や新築の大型社寺建築が法的に非常に造りにくくなり、工夫した手法で実現してきている状況を説明された。
講義はご自身の体験も含めて、我が国の木造建築環境の変遷について貴重な写真とエピソードを交えた内田流講義であった。参加者は木造のベテラン研究者から学生を含め110名。戦後の木造史の内容だけでなく、会場から笑いが起こる楽しい講義でした。講義後には懇親会が開かれ、参加者の顔ぶれから同窓会のようななごやかな雰囲気がありました。
(特別講義事業幹事 片岡泰子)
(撮影:佐藤敬介)