見学会

  
  
  
  
  
  

 ■見学会/木の文化を見る 企画募集
 フォラムでは会員による見学会企画を募集しています。
 地元の隠れた名建築、関わってきた仕事、設計施工事例、紹介したい森林、ミニ講演会、あの人の話が聞きたい、我社の自慢の工場等々、木と木の文化に関係することならばその内容を問いません。企画持ち込みはもちろんのこと、ちょっとしたアイディアでも大歓迎です。事務局までお寄せください。

■春の東北ツアー 見学会の報告

4月13、14日一泊の東北建築ツアーに参加した。美味しいコース料理を頂いた後、満開の桜を愛で、車内で櫛団子をごちそうになり和やかに目的地へと向かった。

 はじめの見学地「なかなか遺産」第一号の「旧達古袋小学校」は、木造平屋建てファサードの水平ラインが青空に映えて綺麗だった。車窓から「旧東北砕石工場」、古民家再生の民家を観て、嵩上げ市街地に建つ「陸前高田博物館」を見学した。博物館に隣接して追悼施設がある。せがい造りの腕木が大屋根を支え、気仙大工の伝統的手法、匠の技が生かされている。「みんなの家」「アムウェイハウス」「まちの縁側」「市立図書館」「ほんまるの家」は自由行動で観た。
 二日目、広田湾にそそぐ気仙川の上流地区にある「住田町役場庁舎」を見学、同じ敷地内に建つ貫式木造ラーメンの「大船渡地区消防署住田分署」と「民俗資料館(旧上有小学校)と公民館」について説明を受けた。その中で「発注者という職能」という言葉が印象に残った。混沌の中の調整や後のメンテナンス計画等の重要性を部材説明の端々から実感した。道すがら、気仙川に架かるシンプルな木造の松日橋を観て究極の持続可能物件と感心した。

昼食時に「道の駅高田松原」にて、併設の「復興祈念公園」を散策、ゲートから海の献花台へ誘導され、大自然の驚異に屈しない力強さと鎮魂の精神を感じた。

 次にそり屋根が特徴的な「陸前高田市立高田東中学校」を見学、木造鉄骨混構造の半剛吊梁大スパンの空間は雄大だった。最後に訪れた「旧吉田家住宅復旧現場」は被災し流れた木材を収集し再建した藁葺き屋根の民家である。直々に棟梁から苦労話を伺い、逆境からの再生を思い感慨深かった。中身の濃い楽しい旅だった。

(正会員 佐藤英子)

■見学会の報告

第31回山形見学会報告

 2017年7月1日の開催された山形中東部の新旧木造建築ツアーに参加した。当日は、さくらんぼ狩りの終盤近い週末であったためか、東京からの新幹線は朝一番から満員であった。まずは、さくらんぼ東根駅で下車をして、「おおとみ保育園」を見学した。山形県地杉を利用して中規模建築が、どのように法的にも構造的にもクリアしていったかの過程が知りたかった。軒高9m最高高さ13m以下として46条の壁量計算を満たしたルート1で構造計算をしていて、大空間を作り出している樹状方杖は耐震要素としては算入していなかった。ただし、剛性の影響はチェックしていると同時に、大きなスパンも小さなスパンも樹状方杖が連続していることで、建物内部が印象的になり、特に廊下の溜りの北側にあるオープン空間は園児達にとっても心地よい場であった。
 次に訪れたのは、「山寺」(宝珠山立石寺)と「山寺芭蕉記念館」の二手に分かれての見学であった。50歳を過ぎて、この先いつ山形に来るかも解らないことから、まだ若いうちに「山寺」に登ろうと思った。僧の修行の場であった山寺は860年に開かれたが、山の形状、岩の形をよく読み取り、「そこにしか出来ない建築を生み出している」ランドスケープと木造建築が融合した日本の文化であり、世界に誇れる日本の宝であると思う。
山形市内に入り、旧山形県庁の「文翔館」、山形市郷土館である「旧済生館本館」を見学した。明治時期に建てられた済生館は木造4階建ての擬洋風建築で、各部屋を望める円形の中庭の距離感は絶妙で、近からず遠からずであった。
 2週間前に芸術工学会の全国大会が山形で開かれていた。このツアーの解散後、その会場となった七日町御殿堰近くのある、トンガリビルを訪ねてみた。古いビルのリノベーションであったが、古い建物の中に「彩り」を与えているのは、木を使った内装であり、木のインテリアだった。地方のまちも、空き家問題をはじめ、色々なことが問題となっているが、加工しやすい木は様々な可能性がある。きっと次の段階にも木の建築は活かされていくだろう。

 
おおとみ保育園 内観
 
山寺(宝珠山立石寺)
 
旧済生館本館

(正会員 燗ゆかり)

第30回北海道見学会の報告

「旭川〜富良野 建築・森林関連施設ツアー」

 2018年9月12日(火)〜13(水)の、富良野見学会に参加した。今回の見学会では、北方建築総合研究所、林産試験場、東京大学北海道演習林の3箇所の見学をした。
 北方建築総合研究所(北総建)は、北海道に根ざした調査研究、試験・評価、普及・支援をおこなっている。北総研特有の研究内容や設備見学もさることながら、第10回環境・省エネルギー建築賞をはじめとした計3つの賞を受賞し、エネルギーを40%削減したという建物自体が興味深かった。次いで、旭川市西神楽にある林産試験場を見学した。ここでは、林産物に関する研究開発、技術支援をおこなっていた。
 12日は富良野市麓郷にある東京大学北海道演習林のセミナーハウスに宿泊し、13日(水)は富良野市の東京大学演習林を見学した。森林資料館での説明と見学に加え、まず、広葉樹天然林の24林班と58林班を視察した。ここでは、広葉樹優良木の単木管理としての優良遺伝子資源の保全と、持続可能な資源管理に関する説明を受けた。特に、保存木の考え方、その選別・登録手法は興味深かった。次いで、木材生産の現場として44林班、108・109林班を見学した。そこでは、持続可能な森林経営を目指して、立木販売、素材販売をおこなっており、2015年度は28171m3、約8821万円の収入を得ているとのことであった。収穫木を一本一本選ぶ選木の方針がしっかりとあり、持続可能な木材生産による森林経営の実践がおこなわれていると感じた。

 
東京大学北海道演習林見学の様子

(文責:松留愼一郎)

 過去見学会一覧
第32回 一関・陸前高田・住田町 春の東北 木の建築見学会
第31回 山形中東部 新旧木造建築バスツアー
第30回 旭川〜富良野 建築・森林関連施設ツアー
第29回 ぎふ地域の木材を活用した3木造ツアー
第28回 岐阜地域の木材を活用した大規模木造建築
第27回 会津地域の木材を活用した中規模木造建築
第26回 池上本門寺見学と公開対談
第25回 静岡県草薙総合運動場体育館 現場見学会
第24回 寒川神社の御本殿建築と「神嶽山(かんたけやま)」の社を歩く見学会
第23回 明治神宮の建築名所を巡る見学会
第22回 高野山真言宗 日向山 宝城坊 日向薬師 薬師堂(本堂)大修理現場見学会
第21回 東京都 重要文化財護国寺月光殿 保存修復工事現場見学会
第20回 秋田 木造建築を見る旅
第19回 木の文化を見る OMソーラーの木造保育園
第18回 自由学園の木造校舎と耐震補強
第17回 日光「旧トレッドソン邸」見学
第16回 身延山久遠寺五重塔
第15回 ポラテック(株) 板東プレカット工事見学
第14回 喜楽山教令院慈眼寺山門新築工事現場
第13回 大本山法華経寺の歴史的建築物を見る
第12回 天竜杉で産地を学ぶ、新月伐採木とトレーサビリティー
第11回 木曽檜の産地を見る
第10回 和歌山市内の歴史的建築物保存修理工事現場
第09回 吉田鉄郎設計 馬場氏熱海別邸
第08回 東本願寺御影堂修理工事現場
第07回 国宝 唐招提寺金堂保存修理工事現場
第06回 上野の杜の文化財・奏楽堂と寛永寺
第05回 木質複合構造・金沢エムビル
第04回 寒川神社
第03回 OMソーラー 地球のたまご
第02回 天竜山林伐採体験ツアー
第01回 明治期のハンマービム小屋組 求道会館と日本女子大学成瀬記念講堂


−このページのトップへ戻る−