■一関・陸前高田・住田町 春の東北 木の建築見学会のご案内
一関の住民の皆さんが主体となって残した旧逹子袋(たっこたい)小学校。東日本大震災を経て高台整備が進む陸前高田につくられた多くの木の建築。豊富な森林資源を持つ住田町の役場庁舎、消防署、地区公民館。そして、復旧工事中の旧吉田家主屋。
盛りだくさんの木の建築を視察できる東北ツアーを会員の阿部えみ子さんに企画していただきました。
コロナ禍でしばらく実施できなかった見学会です。
春の東北を皆さまとご一緒できることを楽しみにしています。
>>詳細・申込書
(担当理事:神田雅子)
■企 画:阿部えみ子氏
(NPO 木の建築フォラム正会員、NPO 一関のなかなか遺産を考える会 副理事長兼事務局長)
■日 時:2023 年4 月13 日(木)-14 日(金)
■参加費:会員28,500円、一般29,500円
(貸切バス、1日目昼食費、夕食費、宿泊費、保険加入料を含みます。
集合・解散場所までの交通費は除きます。)
■宿泊費:陸前高田キャピタルホテル1000(〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町長砂60-1)
ツインルームのシングルユースです。
■定 員:20名程度(中型バス定員・申込先着順)
■参加申込み締切:2023年1月30日(月)
■行 程:
●1日目 4 月13 日(木)
09:08 東京発(こまち11 号秋田行き)⇒10:50 仙台(やまびこ53 号盛岡行き)⇒
11:23 一ノ関駅着
11:40 一ノ関駅 西口駅前レストラン「リコルト」にて昼食
12:40 「リコルト」発 バス移動
13:00 「旧達古袋小学校」見学 ☆説明あり。
所在地:〒021-0102 岩手県一関市萩荘八幡154-3
14:30 達古袋小学校出発
バス移動
16:00 陸前高田着 各自下記を見学⇒徒歩またはバスにてホテル
・「陸前高田市立博物館」(設計:内藤廣建築設計事務所)入館受付16:30
・「道の駅陸前高田」(設計:内藤廣建築設計事務所)
・「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」(設計:隈研吾建築都市設計事務所)
・「交流施設 ほんまるの家」(設計:伊東豊雄建築設計事務所)
・「みんなの家」(設計:伊東豊雄建築設計事務所)
18:30 食事、懇親会(宿泊ホテルのレストランにて)
●2日目 4 月14 日(金)
ホテル発 バス移動
09:00 「住田町役場」(設計:前田建設工業・長谷川建設・中居敬一都市建築設計共同企業体)、
「大船渡消防署住田分署」(設計:SALHAUS)見学
「住田町上有住地区公民館(設計:パーシモンヒルズ・アーキテクツ) ☆説明あり。
・民族資料館(旧上有住小学校)」見学 ☆説明あり。
12:00 「道の駅高田松原」着 各自見学・昼食
13:30 発 バス移動
13:40 「陸前高田市立東中学校」(設計:SALHAUS)見学 ☆説明あり。
14:40 発 バス移動
15:00 「旧吉田家住宅 復旧現場」見学
☆説明あり。気仙大工さん依頼交渉中。
16:30 陸前高田発 バス移動
17:48 一ノ関駅発(はやぶさ112 号)⇒19:56 東京駅着、もしくは
18:38 一ノ関駅発(やまびこ68 号)⇒19:09 仙台(こまち42 号)⇒21:04 東京駅着
※新幹線の時間は4月に変更あり。
▲住田町役場
▲陸前高田アムウェイハウス まちの縁側
>>見学会お申込について
下記の申込フォーム、または申込書よりお申込ください。
申込フォーム:https://forms.gle/JuRqyWNHcvVKgQCj6
申込書:PDF│WORD
■見学会の報告
第31回山形見学会報告
2017年7月1日の開催された山形中東部の新旧木造建築ツアーに参加した。当日は、さくらんぼ狩りの終盤近い週末であったためか、東京からの新幹線は朝一番から満員であった。まずは、さくらんぼ東根駅で下車をして、「おおとみ保育園」を見学した。山形県地杉を利用して中規模建築が、どのように法的にも構造的にもクリアしていったかの過程が知りたかった。軒高9m最高高さ13m以下として46条の壁量計算を満たしたルート1で構造計算をしていて、大空間を作り出している樹状方杖は耐震要素としては算入していなかった。ただし、剛性の影響はチェックしていると同時に、大きなスパンも小さなスパンも樹状方杖が連続していることで、建物内部が印象的になり、特に廊下の溜りの北側にあるオープン空間は園児達にとっても心地よい場であった。
次に訪れたのは、「山寺」(宝珠山立石寺)と「山寺芭蕉記念館」の二手に分かれての見学であった。50歳を過ぎて、この先いつ山形に来るかも解らないことから、まだ若いうちに「山寺」に登ろうと思った。僧の修行の場であった山寺は860年に開かれたが、山の形状、岩の形をよく読み取り、「そこにしか出来ない建築を生み出している」ランドスケープと木造建築が融合した日本の文化であり、世界に誇れる日本の宝であると思う。
山形市内に入り、旧山形県庁の「文翔館」、山形市郷土館である「旧済生館本館」を見学した。明治時期に建てられた済生館は木造4階建ての擬洋風建築で、各部屋を望める円形の中庭の距離感は絶妙で、近からず遠からずであった。
2週間前に芸術工学会の全国大会が山形で開かれていた。このツアーの解散後、その会場となった七日町御殿堰近くのある、トンガリビルを訪ねてみた。古いビルのリノベーションであったが、古い建物の中に「彩り」を与えているのは、木を使った内装であり、木のインテリアだった。地方のまちも、空き家問題をはじめ、色々なことが問題となっているが、加工しやすい木は様々な可能性がある。きっと次の段階にも木の建築は活かされていくだろう。
おおとみ保育園 内観
山寺(宝珠山立石寺)
旧済生館本館
(正会員 燗ゆかり)
■第31回見学会のご案内〜山形中東部 新旧木造建築バスツアー
第31回見学会は、山形県中東部の新旧木造建築バスツアーです。フォラム正会員の伊藤啓富氏(木造建築構造設計 i-木構)の企画で実現します。木造建築好きな仲間と夏の山形のバスツアーをお楽しみください。東京方面からはもちろん、名古屋、大阪(伊丹)からも日帰り可能なツアーですのでふるってご参加ください。
(見学会担当理事:神田雅子)
>> 申込書(pdf)│申込書(word)
■日 時:2017年7月1日(土)10:40〜16:50
■参加費:一般9,000円、フォラム会員8,000円(ツアーバス、資料代、保険加入費を含みます。)
■定 員:18名(申込み先着順。定員になり次第締め切ります。最小催行人数:10名。)
■集 合:山形新幹線さくらんぼ東根駅(10:40)、または、山形空港ロビー(11:00)
■解 散:山形新幹線山形駅、または、山形空港。
■集合場所へのアクセス:
・東京方面より
つばさ123号(新庄行)
東京駅07:12発 さくらんぼ東根駅10:26
JAL175便 東京(羽田)8:10発 山形9:10着
・名古屋方面より飛行機
FDA381便/JAL4321便
名古屋(小牧)9:40発 山形10:45着
・大阪方面より飛行機
JAL2233便 大阪(伊丹)7:05発 山形8:20着
■行 程:
10:40 さくらんぼ東根駅 集合
11:00 山形空港 集合
11:05 おおとみ保育園見学(60分)所在地:東根市大字羽入2072番地1-1
12:05 バス移動(30分)
12:35
山寺(宝珠山立石寺)見学、および、昼食(125分)(入山料300円と昼食は各自にて。)
所在地:山形県山形市山寺4456
14:40 バス移動(40分)
15:25 山形市郷土館(旧済生館本館)見学(25分)
所在地:山形県山形市霞城町1-1(霞城公園内)
15:50 徒歩移動(25分)
16:15 七日町御殿堰見学
所在地:山形県山形市七日町2丁目7−6
16:30 見学終了
16:50 山形駅解散
17:30 山形空港解散
■見学先の概要:
〈おおとみ保育園〉
おおとみ保育園は山形県東根市において既存の保育園の民設民営への移行のさいの公募の上で採用された事業で、特別養護老人ホームとも併設した幼老複合施設として計画されています。老人ホーム棟は2階建て1時間耐火の枠組壁工法、保育園棟は平屋建て準耐火の軸組工法です。
保育園棟は遊戯室に大空間が必要であり、また計画地は積雪1mの多雪地域で木材に地元の山形県産杉製材を使いたいと要望があったため、様々な工法を検討した結果スパン9.1mの樹状方杖架構としました。
木材の加工・建方はプレカット工場と地元大工が行うため樹状方杖は2次元フレームとして、仕口もシンプルな加工でできる様に配慮しました。樹状方杖は緩い勾配の建物でも空間の中心付近を高くできるので開放感のある内部空間を創出できます。
また、木材は自然乾燥と中温乾燥を組合せ、仕上がりを美しく見せておりさらに、躯体と同じ杉を用いた製作建具を用い、躯体と一体的に見えるようにしています。

■建築概要:
名称:おおとみ保育園(仮称)新築工事
意匠設計:飯野設計事務所
施主:社会福祉法人 ユトリア会
用途:保育園(別棟の老人ホームを含めた複合施設)
構造:
木造平屋建て軸組工法
樹状方杖架構(9.1mスパン)
構造材に山形県産の杉製材を使用(土台に他県産桧、一部梁にRW集成材)
準耐火構造(ロ準耐1外壁耐火構造)
建築面積:967.05u、延べ床面積:794.98u
軒高:3.635m、最高高さ:6.199m
〈山寺(宝珠山立石寺)〉
貞観2年(860)、第三世天台座主慈覚大師円仁が開いた、天台宗の御山で東北を代表する霊山です。俳聖松尾芭蕉の名句「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」はこの地で詠まれたとのことです。約百町歩(33万坪)の境内を持ち、平成28年に山形市指定有形文化財に指定された「山寺行啓記念殿」を含み大小30余りの堂塔が残され、三つの不滅(法灯・香・写経行)が今尚護られています。
〈山形市郷土館(旧済生館本館)〉
旧済生館本館は、明治11年9月に竣工した擬洋風の病院建築物です。最初は県立病院として使用され、その後、明治21年に民営移管となり、明治37年からは市立病院済生館の本館として使用されました。創建当時は医学校が併設され、オーストリア人医師・ローレツが近代医学教育の教鞭をとったことでよく知られています。
昭和41年12月5日に国の重要文化財に指定され、それに伴い霞城公園内に移築復元の運びとなりました。昭和44年に移築復元工事が完了し、管理棟を付設のうえ昭和46年に「山形市郷土館」として新たに出発しました。現在、1・2階を一般に公開し、郷土史・医学関係資料を展示しています。
(文章は山形市公式HPより)
おおとみ保育園軸組図
〈七日町御殿堰〉
水の町屋、七日町御殿堰として再開発された商業施設です。岩渕茶舗、ケン・オクヤマ・カーサ、結城屋、庄司屋、クラシックカフェ、布四季庵、群言堂があり、老舗とモダンが体感できます。第8回木の建築賞の集成材建築賞・メンバーズチョイス賞受賞作品でもあります。
▲七日町御殿堰 山形市観光協会公式HPより転載。
▲山形市郷土館(旧済生館本館)
■見学会の報告
第30回北海道見学会の報告
「旭川〜富良野 建築・森林関連施設ツアー」
2018年9月12日(火)〜13(水)の、富良野見学会に参加した。今回の見学会では、北方建築総合研究所、林産試験場、東京大学北海道演習林の3箇所の見学をした。
北方建築総合研究所(北総建)は、北海道に根ざした調査研究、試験・評価、普及・支援をおこなっている。北総研特有の研究内容や設備見学もさることながら、第10回環境・省エネルギー建築賞をはじめとした計3つの賞を受賞し、エネルギーを40%削減したという建物自体が興味深かった。次いで、旭川市西神楽にある林産試験場を見学した。ここでは、林産物に関する研究開発、技術支援をおこなっていた。
12日は富良野市麓郷にある東京大学北海道演習林のセミナーハウスに宿泊し、13日(水)は富良野市の東京大学演習林を見学した。森林資料館での説明と見学に加え、まず、広葉樹天然林の24林班と58林班を視察した。ここでは、広葉樹優良木の単木管理としての優良遺伝子資源の保全と、持続可能な資源管理に関する説明を受けた。特に、保存木の考え方、その選別・登録手法は興味深かった。次いで、木材生産の現場として44林班、108・109林班を見学した。そこでは、持続可能な森林経営を目指して、立木販売、素材販売をおこなっており、2015年度は28171m3、約8821万円の収入を得ているとのことであった。収穫木を一本一本選ぶ選木の方針がしっかりとあり、持続可能な木材生産による森林経営の実践がおこなわれていると感じた。
東京大学北海道演習林見学の様子
(文責:松留愼一郎)