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 ◆雑木林 活用の注意とお願い
  • 原稿は、ワードなどデジタルデータで500文字以内。(写真も含め)
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 ◆会員だより

菅 徹夫 <正会員>No.2834

静岡県草薙総合運動場体育館 現場見学会に参加して

 2014年11月7日、標記の見学会に参加させていただきました。内藤廣建築設計事務所の設計によるこの体育館は、県西部で採れる天竜杉の大断面集成材で大屋根面の鉛直荷重を負担するRC造とS造、木造の混構造の建物です。これほどの大空間を混構造とはいえ木造で組み上げ通常以上の耐震性能を実現していることには大変驚かされました。この建物は360×600×14,500の同サイズの垂木256本が屋根を支えています。垂木はサイズこそ同じですが、その設置勾配はすべてが微妙に異なっているため垂木を受けるコンクリートベースの形状もすべて違っています。そうした施工上の苦労話なども鹿島建設の所長さんからお聞きすることができました。この256本の天竜杉の垂木は、構造を受け持つだけでなくそのまま内部空間を形成するデザインとして圧倒的な迫力を持っていますがそれでいてとても柔らかい空間だと感じました。この体育館は間違いなく2015年の大規模木造建築の代表作として話題になることでしょう。

見学会の様子
▲見学会の様子(参加者22名)

公共建築の木造化が、全国的に推奨されはじめたことは素晴らしいことだと思います。その流れを受けて、我々は中小規模の非住宅の建築をできる限り木造で考えていくという方向性をさらに目指していきたいと考えます。非住宅の木造化が特殊な技術を要するモノではなく一般的な設計方法と一般的な施工法で建築できる環境を早急につくりたいものです。

高橋 三紀子<正会員>No.1630

「木の建築賞」選考会に参加して

 10月11日、山口県宇部市での「木の建築賞」二次選考会、12日、萩市を中心としたエクスカーションに参加してきました。
 会場となった村野藤吾さん設計の「ヒストリア宇部」を見たいのが目的で、気軽に参加したのですが、20点の選考発表は、午前10時から、午後7時近くまで続き、その熱のこもった各々に、圧倒されました。
 最寄りの「宇部新川駅」は、駅前に、小さいビジネスホテルが多数点在する石炭産業発展の街の駅。
 駅から歩いて20分程、真締川の畔に、「ヒストリア宇部」(旧宇部銀行)は健在でした。外壁を蔽うタイルの温かい肌ざわり、正面上部のガラスブロックの使い方、外壁に付けられた灯の配置など、藤吾さんならではと思われました。
 今回、初めて選考会に参加し、応募者の方々の熱意に初めて触れることができ、主催者としてのフォラムは、もっと多くの一般参加者も交えて、もっともっと充実した会合にすべきではないかと強く感じました。
 当日、会場で最も得票したのは「木と暮らすこと伝えたい」という、木の良さを伝える様々な試みをされている木材会社。
 沖縄からも、二件の発表がありましたが、一件目の方は、台風19号のため、参加できず、映像とTV電話で、会場とのやり取りが行われました。二件目の発表では、台風常襲地でのしっかりした梁構えの心地良い木造の家が提示されました。

長谷川順一<正会員>No.2832

明治神宮の建築名所を巡る見学会

拝殿丸柱と枠を一体化して固める
▲拝殿丸柱と枠を
 一体化して固める
 9月13日、明治神宮の建築名所を巡る見学会が開催され32名が集まりました。神楽殿にて祈祷のあと、神宮拝殿と隔雲亭を実際の作事に携わられた竹澤要様のご案内でめぐりました。拝殿では昭和31年より始まった再建工事当時の様々な逸話を伺い、また最近行われた耐震補強の説明をいただきました。とくに小屋組内部や開口部内法上の補強方法、また拝殿丸柱に取り付く内法長押・腰長押の相互の仕口を矩形化することで、長押を構造材として機能させるようにし、さらに扉三方枠と円柱を構造的に一体化する手法など、社寺建築補強の要諦とも思えるヒントを戴きました。
 続いて神宮に引き続き昭和33年に再建された隔雲亭(当初昭憲皇太后のお休み処として建てられた)では、親しまれる神宮の杜自体が緻密に計画再建された中で、今に至っていることなどお伺いし、折しも東京五輪開催決定による国立競技場の建て替え論議も急浮上する中、神宮界隈の景観を一変させかねない構想計画の行方を案じる見学会ともなりました。

見学会の様子
▲見学会の様子
(撮影:見学会事業幹事 神田雅子)

山本成一郎<正会員>No.2533

寒川神社の御本殿建築と「神嶽山(かんたけやま)」の社を歩く見学会

 10月10日、参加者18名。設計者である竹澤古典建築設計事務所の竹澤要先生の解説をうかがいながら寒川神社社殿を見学するという望外の機会に恵まれ、喜び勇んで参加してきました。
 設計をするに当たり先生は旧社殿に数日間「おこもり」をされ、自らの身体に社殿の魂を植え付けようとなされたとか。曰く「社寺は人間には設計出来ません。神様が自分に下りてきて設計させてくださるのです」と。凡人の私には到底出来ないことです。「社殿内部は母親の胎内の如く、外観は父親の如く」形を整えるとともに、蟇股・虹梁・錺金物等細部についても全て竹澤先生ご自身で原寸スケッチを描かれています。先生は若い頃、師と仰ぐ建築家の角南隆氏から「最も美しい線は若い未婚女性の身体の線だ」と言われ、ヌードデッサンに足繁く通われたのだとか。屋根反りや軒反り、箕甲や破風廻りの流れるような美しい曲線は、そうした鍛錬が生み出しているのでしょう。紙面の関係で触れられませんが、数年前に御本殿奥に整備された神嶽山神苑も一見の価値があります。
 見学後は有志で近くの蕎麦屋へ。竹澤先生と後継であるご子息から貴重なお話をうかがいながら、楽しいお酒をいただき、満足して帰路に就いたのでした。

御本殿正面
▲御本殿正面

望月仁<正会員>No.0556

展覧会のお知らせ

「DOMA秋岡芳夫展 −モノへの思想と関係のデザイン」

●会場:目黒区美術館(東京都目黒区目黒2-4-36)
●開催時期:2011年10月29日(土)〜2011年12月25日(日)
●開館時間:am 10:00 〜 pm 6:00(入館pm 5:30まで)
 ※月曜日は休館
●アクセス:目黒駅から徒歩約10分、中目黒駅から徒歩約20分
●観覧料:一般 900円/大高生・65歳以上 700円/小中生 無料

主催:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館、他
協力:東北工業大学、他
詳しくはこちら >>> 目黒区美術館HP

東日本大震災の情報源など
東日本大震災の被害調査結果の報告が、各機関のホームページに出ています。理事から提供されたいくつかの情報を紹介します。

槌本敬大<正会員>No.1853

建築物の被害調査の速報については、国土交通省国土技術政策総合研究所から「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震調査研究(東日本大震災)(速報)」(国総研資料 第636号)が発行されており、以下のページからダウンロードできます。
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0636.htm?id=201007141338469061

なお、これは独立行政法人建築研究所と共同して執筆した資料であり、以下のページからも同じものがダウンロードできます。
http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/topics/20110311/0311quickreport.html

なお、これは5月上旬の速報であり、これ以降の調査結果は、
1)http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/saigai/h23tohoku/
2)http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/topics/20110311/
からダウンロードできます。
また、土木構造物を含めた建設関係の被害速報会の開催内容や、調査速報は上記の1)からダウンロードできます。
一方、(社)日本建築学会の震災への取り組みはhttp://www.aij.or.jp/jpn/eq/で紹介されており、『2011年東北地方太平洋沖地震災害調査速報』(580ページ、オールカラー)がとりまとめられ、8月上旬から全国で報告会が開催されます。この詳細と参加申込みは下記のページに紹介されています。http://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2011/2011earthquake.pdf

河合直人<正会員>No.0047

工学院大学の調査報告:工学院大学ホームページ
http://www.kogakuin.ac.jp/125/news/2011/052301.html

ツーバイフォー協会の調査報告:(報告書は未)フォラム総会で紹介有り。7月29日に報告会
http://www.kikaku-dojin.jp/2x4/builder/seminar/files/guide/2011/earthquake0728.pdf

東日本大震災に関してのコメント
・震度7でも被害が小さいのは、地震動の特性(短周期成分が多い)による。安心してはいけない。東北の住宅は強いなどと考えるのは誤り。
・阪神のような強烈さはないが、相当の強さの地震動が広範囲に伝播したので、各地で地盤、建物の弱点があるとそれが露呈しているという印象。
・地盤の悪い地域を中心に、広範囲で倒壊を含む被害が発生していることも事実。
・津波被害は深刻に受け止めなければいけないが、津波で木造がすべて流された訳ではない。ただし、木造に限らず建物側でできることには限界がある。
・浸水深5m(2階床+1m)程度までであれば、流速や衝突物、周囲の構造物配置などにもよるが、原型をとどめている木造住宅も多い。

>コメントのつづき

大橋好光<正会員>No.0039

東日本大震災に関する報告と考察
http://www.kiwoikasu.or.jp/upImages/uploader_news/pdf20110714163401.pdf
(木を活かす建築推進協議会(木活協)のホームページから)

神田雅子<正会員>No.1322

第6回木の建築賞大賞を受賞した <八幡浜市立日土小学校> とその設計者である建築家・松村正恒に関する3つのお知らせです。

1.『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』(鹿島出版会)が出版されました。
   著者:花田佳明/神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科教授

 松村正恒は、旧フォラム(木造建築研究フォラム)が1986年に開催した、第2回公開フォラム「木造学校建築」で大変ウィットに富んだ講演をしており、一建築家としてのみならず、非常に興味深い人物です。
松村の生い立ち、八幡浜市役所時代の設計活動の全容の把握と分析、松村家に残る手紙の解読などを詳細に行い、彼が示した「もうひとつのモダニズム建築」の姿が描かれています。
松村作品とその写真や図面も多く掲載し、A5版・650頁をこえる分厚い本です。再生された日土小学校もカラー写真で紹介されています。

>>こちらからpdf チラシ(PDF)をご覧いただけます


2.「八幡浜市立日土小学校と松村正恒展―木造モダニズムの可能性―」が開催されます。

 2009年6月に保存再生工事が完了した日土小学校と松村正恒に関する展覧会が東京で開催されます。

■会期:3月18日(金)〜6月3日(金)(土・日・祝休館)
■会場:GALLERY A4 ギャラリー エー クワッド 
(東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1F)
詳しくはGALLERY A4のホームページをご覧ください。
http://www.a-quad.jp/

>>こちらからpdf チラシ(PDF)をご覧いただけます


3.日土小学校の「春休み見学会」が開催されます。

 保存再生工事完了後、八幡浜市教育委員会主催で長期の休みごとに行われているものです。
まだご覧になっていない方はぜひご参加ください。

■日時:3月27日(日)9時〜16時
詳しくは以下のページをご覧ください。
http://www.city.yawatahama.ehime.jp/03jyouhou/syugaku/hiduti/hiduti.htm

堀江 亨<正会員>No.1651

木造3階建て下宿・本郷館の保存活用にご協力を

 本郷館は、明治期の下宿屋の姿を今に伝える大変貴重な建物です。学術的価値のみならず、下見板の風情ある外観から学生の町本郷のシンボルとして多くの人に親しまれ、また昨今の歴史的な建造物に対する関心から各方面のメディアも注目しています。
 現在、本郷館は老朽化がすすみ、建物を取り壊し、賃貸マンションに建て替える計画が進んでいます。しかし近年では、このような文化財的価値の高い建築物は、機能に応じた整備、構造体の補強、火災に対する安全性確保等を図り新たな建物として再活用してゆくことが求められています。
 本郷館は近代建築史、建築計画、生活史、都市史、都市景観など様々な側面での価値をもった、木造住文化の生きた証しです。この優れた建造物と環境の保全に、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 本郷館の概要および学術的価値についての詳細は「http://ja.wikipedia.org/wiki/本郷館」をご参照下さい。

本郷館 横本郷館正面外観図

袴田喜夫<正会員>No.1388

自由学園木造校舎の耐震補強

 ひょんなご縁からひばりケ丘の自由学園に通っています。自由学園は目白の明日館が有名ですが、実は明日館の完成後十年程でメインキャンパスをひばりケ丘(当時の南沢)に移しています。約三万坪の南沢キャンパスは緩やかな起伏の中に木々や芝生や小川が美しい素晴らしい環境です。そこに遠藤新さんが設計された昭和初期の木造校舎が点在しています。新さん設計に長男の楽さんによる増築や部分的な改修が加わり、博物館的に保存されるのではなく生徒や先生の日常生活の道具として大切にされ、東京都の歴史的建造物に指定されています。
 私は一昨年からの四カ年計画で初等部校舎、女子部校舎、女子部講堂、女子部体操館、女子部食堂の耐震補強と改修の設計監理を手がけています。学校の工事なので夏休みを中心に短期間で行いますが、今年の夏で女子部体操館までが完了して来年度は一番大きな女子部食堂の工事を行います。

女子部体操館
女子部体操館
女子部講堂
女子部講堂

講堂鉄骨工事
講堂鉄骨工事
 もともと壁の少ない設計なので補強設計には金箱温春さんに知恵を絞ってもらいました。遠藤新さんの建築の文化財としての価値(オーセンティシティー)をその時代の材料や工法ではなく意匠ととらえ、鉄骨のやぐらを組んでそれに木造の架構を持たせる方法をとり、もともとの意匠を変えないようにうまく隠ぺいしました。
 改修では現在の用に足りない部分は思いきって変えましたが、すべてを新しくするのではなく使える古い部材はなるべく残しました。すり減った敷居や傷の残る羽目板などには卒業生の思い出が染み込んでいます。取り換えた新しい部分にはこれからの生徒たちの思い出が刻まれるのでしょう。今後も時代に合わせ少しづつ変わりながらいつまでも残る建築であってほしいと願っています。