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■ 理事長挨拶

より広く分野を繋ぐ議論を求めて

新理事長挨拶
NPO木の建築フォラム理事長 安藤邦廣

NPO木の建築フォラム理事長 安藤邦廣

 私たち木の建築フォラムは2001年にNPO法人として設立されました、以来15年にわたって坂本功東京大学名誉教授が理事長を務めて参りました。この度、私安藤邦廣がその役職を引き継ぐこととなりました。この間の本会の活動を振り返ってみますと、資源、エネルギー問題や環境問題が深刻化し、建築業界の構造的な不況の続くなかで、木造建築の分野はその課題への対応策として見直され、広く注目を集めるに至っているといえます。本会は木と木造建築に関わる幅広い議論を交わす場としての役割を果たし、伝統構法の再評価や新しい木造技術の開発等に貢献して参りました。
 このように木造建築に関心が高まる一方で、その基盤となる森林資源、林業を巡る状況は深刻で、その資源の保全や林業技術の継承には多くの課題が残されています。木造建築の継承と振興を図る上で、本会には木材、林業、森林の分野といっそうの連携を深める取り組みが求められるところです。
 2011年の東日本大震災は、その震災復興という大きな困難に直面して、これからの日本人の暮らしを考える重要な契機となりました。今後予測される日本列島の災害に備えて、木と木造建築の分野の果たす役割は益々重要性を高めています。木と木造技術とそれのもたらす地域社会と生活の再構築を急がねばなりません。
 このような新たな目標に向かって、木の建築フォラムは研究や実務の領域に留まらず、生活や制度の課題としても、より広く分野を繋ぐ議論の場を提供して参ります。会員の皆様、そして木と木造建築の未来に日本を託そうとする多くの皆様の参加を呼びかけて、ひとつひとつの課題に取り組んでいきたいと存じます。(2015年7月)

 ■ 設立にあたって

〜フォラムを拠点として何かをやろう〜 初代理事長 坂本功

はじめに
 「木の建築フォラム」の設立総会を3月30日に開いてから、すでに4ヶ月あまりが経ちました。そして、ようやくこのフォラム通信の第1号をお送りすることができることになりました。会員の方々には、設立後の情報が途絶えて、ご心配になっている方もいらっしゃるとお聞きしました。まず、お詫び申し上げます。
 このフォラム通信は、事務的な連絡を中心に発信するものですので、代表理事として公式な見解を述べるというような大げさなことはそぐわないのですが、第1号ということもあり、その一人としてこの場をお借りして、ご挨拶申し上げたいと思います。ただ、あまり堅苦しくなく、設立総会の時にお話ししたようなことを、気楽に書かせていただきます。

新・旧フォラムの関係
 まず、この「木の建築フォラム」と「木造建築研究フォラム」の関係です。ちょっと乱暴ですが、新フォラムと旧フォラムと呼ぶことにしますが、この両者の関係については、旧フォラムの解散と新フォラムの設立に至る経緯の中でも、その関係の意味づけが変化してきましたし、また、今でも人によって見方が異なっていると思います。
 私自身は、旧フォラムが発展的に解消して、新フォラムが生まれたと解釈するのが、一番素直だと思っています。したがって、旧フォラムのよかったところは積極的に引き継いでゆくべきだと考えています。

木の建築フォラムの性格
 しかし、木の建築フォラムは、近々NPOとしての認証を受けることになる、新しい組織です。そこで、再出発したと言うよりはむしろ新たな出発をしたという意識が必要です。つまり、旧フォラムの遺産は貴重ですが、それにはとらわれず、新フォラムとして、新しくなったことの良さを生かして、積極的に活動してゆくべきだと思います。
 木の建築フォラムの性格として、旧フォラムと異なる点のうち、とくにつぎのふたつを挙げたいと思います。ひとつは、NPOになることです。旧フォラムは、任意団体ではありましたが、実質的に、社会的認知を受けていたといえます。そして、この新フォラムがNPOになるということは、実質に加えて形の上でも社会的な認知を受けるということになります。
 NPOになることによって、新フォラムが様々な活動をする際に、たとえばこれまで付き合いのない組織や人と新しいことを始めようというときなどに、相手方に対して新フォラムの位置づけをきちんと説明することができるようになります。
 木の建築フォラムのもうひとつの性格は、会員の皆さんの活動の拠点となるということです。旧フォラムも、もちろんそのような性格を持っていましたが、どちらかというと、各種の催しについて企画委員会が中心になって内容にまで踏み込んだ案を作り、それを理事がオーソライズするということが多かったように思います。
 しかし、木の建築フォラムでは、活動の主体は会員にあって、会員自らが各種の企画を具体化するということに重点が置かれています。つまり、やや大げさですが、かつてのアメリカ合衆国の大統領の言葉を借りると、「会員に対して、フォラムが何をしてくれるか」ではなく「会員が、フォラムを拠点として何ができるか」 を主体的に考えてほしいと思います。
 ただし、そのような会員主体の活動には、多少の危惧があります。それは、各活動グループで、「木の建築」に対する考え方が異なり、グループ間で対立することもあり得ることです。しかし私は、そのような対立があるのはむしろ自然で健全なことであると思います。そこで、会員の方々には、「木の建築」に対する考え方の違いについて、寛容であってほしいと願っています。

むすび
 理事会もすでに4回開かれ、その都度、フォラムの運営をはじめとする様々な問題について、熱い議論をしています。また、旧フォラムの事務局からの事務的な引継もほぼ終わり、新フォラムとしての事務局機能も整いつつあります。
 それにもかかわらず、フォラムの運営は、まだヨチヨチ歩きの状態です。それをしっかりした足取りにするには、会員の方々です。そのためには、繰り返しになりますが「フォラムを拠点として何かをやろう」としてくださることが必要です。
さあ、どなたとどんなことを始めますか。(フォラム通信No.1 発行日 2001年7月30日より)

 ■ 設立趣旨

 人類の視点が、宇宙空間に浮かぶ地球をとらえて、はや40年が経ちます。
しかし、私たちが住む現実の地球は、あの美しい映像とは裏腹に、多くの環境問題を抱えて、危機的状況にあります。オゾン層の破壊、地球温暖化、酸性雨や海洋汚染、生態系の破壊、廃棄物の累積等によって、あらゆる生命を育んできた地球環境全体が脅かされています。地球上の生態系を脅かすことなく、より豊かな生活を継続できる環境創りこそは、生活環境の創造に係わる私たち全てにとって最も重要な責務です。

 私たちは、環境負荷が少なく、自然界で再生産可能な資源である木を活用して、生活環境の創造に深く係わろうと志しています。先人たちの優れた知恵と技術に学びながら、新しい木造建築のあり方を提案し、木を巡る生活文化の再構築を目指しています。幸いにして、環境保全と木材供給との調整をする森林管理の必要性は、広く認知されるようになりました。また自然素材に対する評価も高くなり、木の建築に対する社会的位置付けも好転しつつあります。
 しかし建築基準法の改定や、品質確保促進法の制定によって、木の建築に対する社会的な要請は、より科学的で高性能であることを求めています。このような状況下で、自然環境との共生を図りつつ、質の高い生活文化の再構築を目指すためには、木を巡る正確な最新情報や具体的な技術情報の提供、それぞれの地域に適応した安全で快適な木造建築の推進、優れた木造建築を社会資産として継承するまちづくり、技術者・建築家・技能者・研究者を育てる社会教育システムの確立に関して、一層具体的な展開が必要です。

 私たちは、木を巡る生活文化の創造に係わるより多くの人々と共に、これら諸々の活動を地域に根ざして実践すべく、地域と連携しつつ相互支援をしていく継続的な活動組織を設立します。木の建築に係わる育林、製材、木材加工、設計、施工、施主、研究、教育、行政など、あらゆる分野の人々が集まる場をつくり、国際的ネットワークの核として、お互いの交流と研鑽を重ね、そこで生まれた様々な成果を公開し、それぞれの地域にふさわしい生活環境の創造に寄与します。

 NPO「木の建築フォラム」の趣旨に賛同される多くの方々へ、また関連する諸々の団体へ参集を呼びかけるとともに、事業への参画、提案型事業の立ち上げを歓迎します。

 ■ 定款

定款 [PDF:389KB]