〜フォラムを拠点として何かをやろう〜 初代理事長 坂本功
はじめに
「木の建築フォラム」の設立総会を3月30日に開いてから、すでに4ヶ月あまりが経ちました。そして、ようやくこのフォラム通信の第1号をお送りすることができることになりました。会員の方々には、設立後の情報が途絶えて、ご心配になっている方もいらっしゃるとお聞きしました。まず、お詫び申し上げます。
このフォラム通信は、事務的な連絡を中心に発信するものですので、代表理事として公式な見解を述べるというような大げさなことはそぐわないのですが、第1号ということもあり、その一人としてこの場をお借りして、ご挨拶申し上げたいと思います。ただ、あまり堅苦しくなく、設立総会の時にお話ししたようなことを、気楽に書かせていただきます。
新・旧フォラムの関係
まず、この「木の建築フォラム」と「木造建築研究フォラム」の関係です。ちょっと乱暴ですが、新フォラムと旧フォラムと呼ぶことにしますが、この両者の関係については、旧フォラムの解散と新フォラムの設立に至る経緯の中でも、その関係の意味づけが変化してきましたし、また、今でも人によって見方が異なっていると思います。
私自身は、旧フォラムが発展的に解消して、新フォラムが生まれたと解釈するのが、一番素直だと思っています。したがって、旧フォラムのよかったところは積極的に引き継いでゆくべきだと考えています。
木の建築フォラムの性格
しかし、木の建築フォラムは、近々NPOとしての認証を受けることになる、新しい組織です。そこで、再出発したと言うよりはむしろ新たな出発をしたという意識が必要です。つまり、旧フォラムの遺産は貴重ですが、それにはとらわれず、新フォラムとして、新しくなったことの良さを生かして、積極的に活動してゆくべきだと思います。
木の建築フォラムの性格として、旧フォラムと異なる点のうち、とくにつぎのふたつを挙げたいと思います。ひとつは、NPOになることです。旧フォラムは、任意団体ではありましたが、実質的に、社会的認知を受けていたといえます。そして、この新フォラムがNPOになるということは、実質に加えて形の上でも社会的な認知を受けるということになります。
NPOになることによって、新フォラムが様々な活動をする際に、たとえばこれまで付き合いのない組織や人と新しいことを始めようというときなどに、相手方に対して新フォラムの位置づけをきちんと説明することができるようになります。
木の建築フォラムのもうひとつの性格は、会員の皆さんの活動の拠点となるということです。旧フォラムも、もちろんそのような性格を持っていましたが、どちらかというと、各種の催しについて企画委員会が中心になって内容にまで踏み込んだ案を作り、それを理事がオーソライズするということが多かったように思います。
しかし、木の建築フォラムでは、活動の主体は会員にあって、会員自らが各種の企画を具体化するということに重点が置かれています。つまり、やや大げさですが、かつてのアメリカ合衆国の大統領の言葉を借りると、「会員に対して、フォラムが何をしてくれるか」ではなく「会員が、フォラムを拠点として何ができるか」 を主体的に考えてほしいと思います。
ただし、そのような会員主体の活動には、多少の危惧があります。それは、各活動グループで、「木の建築」に対する考え方が異なり、グループ間で対立することもあり得ることです。しかし私は、そのような対立があるのはむしろ自然で健全なことであると思います。そこで、会員の方々には、「木の建築」に対する考え方の違いについて、寛容であってほしいと願っています。
むすび
理事会もすでに4回開かれ、その都度、フォラムの運営をはじめとする様々な問題について、熱い議論をしています。また、旧フォラムの事務局からの事務的な引継もほぼ終わり、新フォラムとしての事務局機能も整いつつあります。
それにもかかわらず、フォラムの運営は、まだヨチヨチ歩きの状態です。それをしっかりした足取りにするには、会員の方々です。そのためには、繰り返しになりますが「フォラムを拠点として何かをやろう」としてくださることが必要です。
さあ、どなたとどんなことを始めますか。(フォラム通信No.1 発行日 2001年7月30日より)