◆五重塔を揺らす2006

再度、五重塔の模型振動実験を行います。

■日 時 2006年4月14日(金)10:00〜17:00
■場 所 防災科学技術研究所(つくば市)
■内 容 
午前中:講演
     ・2004年の実験結果報告、
     ・近々建設予定の五重塔の報告など
午 後:見学と討論
     ・実験内容の説明
     ・実験見学
     ・実験結果を見ながらの討論

 五重塔は地震で倒壊した記録がないと言われていますが、その耐震性の説明は諸説あり、実際の五重塔で大地震動時の挙動を工学的な観点から測定、観察を行った例がないこともあって、未だ解明されたとは言いがたい状態にあります。
 2004年12月の公開実験・シンポジウムでは、模型振動実験の結果も見ながら、五重塔はなぜ地震で倒れないかについて活発な討論を行うことができました。今回は、この模型を再度用い、特に心柱の影響を明らかにすることを主目的として、心柱形式を違えた場合の振動実験を予定しています。
 おそらく模型振動実験はこれが最後になります。前回ご参加の方ももう一度、参加されなかった方は是非一度、実験見学会・シンポジウムに参加されることをお勧めいたします。

(河合直人)  


 ◆五重塔1/5模型振動台公開実験とシンポジウム

「五重塔を揺らす−2004」報告
五重塔を揺らす会 代表 河合直人

 フォラムの自主研究会「五重塔を揺らす会」では、(独)防災科学技術研究所と共同で五重塔の模型振動実験の準備を進めてきましたが、去る12月16日に公開実験が行われ、併せてフォラムと防災科研の共催でシンポジウムが開催されました。当日参加者は予想を超える234人で、五重塔に対する多くの方の熱い思いがひしひしと感じられた次第です。
 シンポジウムでは、主催者挨拶のあと、基調講演として、「日本仏塔集成」などの著書でも有名な別府大学の濱島先生から、木造多重塔の歴史、特に構造形式の変遷や特殊な構造法の事例に関する興味深い話を伺いました。続いて、東京都立大学の藤田先生からは、五重塔の地震被害に関する調査報告があり、やはり地震で倒壊した記録が見あたらないことが示されました。また、耐震性に関する諸説やこれまでの研究成果の紹介があり、午後のパネルディスカッションと振動実験への興味をかき立てられました。



 パネルディスカッションは、文化財や耐震工学の専門家4人をパネラーに招き、公開実験を挟んで討 論し、五重塔の耐震性の謎に迫るというものです。
まず東京文化財研究所の内田氏から、五重塔の振動測定結果に基づいて、ゆっくり揺れる1次モードからカタカタ揺れる3次モードまでの振動モードなどのわかりやすい説明がありました。続いて大阪工業大学の大場先生から、鉄筋コンクリート造との比較を交えて、周期が長く減衰が大きい、2次モードに対して心柱の制振効果が働くらしいといった振動特性の説明がありました。次いで大成建設技術センターの花里氏からは、五重塔の解析結果によるとその耐震性は、柔構造、バランス、減衰、相輪、心柱の衝突など様々な要素の総合と考えられること、さらに津観音五重塔の強震観測で変形が大きいと各層が平行四辺形になるせん断変形が現れることが示されました。4人目のパネラー、奈良文化財研究所の窪寺氏からは、解体修理を担当された最勝院五重塔で、経年により各重が逆向きにねじれるという特異な変形を生じた例などについて紹介がありました。
 これらを受けて、周期が長い柔構造であっても高次モードでは地盤と共振してしまうのではないかといった議論がなされたところで、いよいよ実験の時間です。製作者の宮崎棟梁から五重塔の模型についての説明、防災科研の箕輪氏から入力地震動について説明があった後、2グループに分かれて、はじめのグループは中越地震のJMA小千谷の観測波(時間を3分の1に縮めた場合とそのままの場合)、次のグループは兵庫県南部地震のJMA神戸の観測波(時間3分の1とそのまま)を、それぞれ見学しました。



 再びシンポジウムの会場に戻ってからは、都立大藤田研の千葉氏及び東大坂本研助手の腰原氏から実験結果の速報がなされ、改めて地震波(時間軸を縮めるか否か)によって揺れ方の違うことがビデオやアニメーションで示されました。その後も五重塔の耐震性に関して、せん断変形と曲げ変形のどちらが大きいか、心柱の効果はどういうものかなどの議論が続きました。一方で実験の感想として、模型だと各層が固すぎるようだとの指摘があり、次に行うべき実験についても、構造形式を違える、45度方向に揺らすという案の他に、やはり実大実験を行うべきだとの意見がありました。会場からも、実大で基壇も含めて揺らしては、という意見が出されました。
 ともあれ、今回の実験+シンポジウムは、東京大学坂本教授が総括で述べられたように、専門や立場の違う人が五重塔を巡って一堂に会した意義が大きいと思います。来年度も模型実験が予定されています。再びお会いできることを願ってやみません。


主催:NPO木の建築フォラム・独立行政法人 防災科学技術研究所
後援:独立行政法人 文化財研究所(予定)
協力:独立行政法人 森林総合研究所
日時:2004年12月16日(木)10:00〜17:00
    公開実験予定時刻: 14:15〜15:30
場所:独立行政法人 防災科学技術研究所(つくば市天王台3−1)
定員:200名

内容:飛鳥様式で作られた五重塔1/5模型(宮崎忠仍棟梁製作、高さ6m)
    の公開振動実験、 および実験結果を見ながら五重塔の耐震性に関して
    徹底的に討論するシンポジウムを開催します。

■ プログラム
10:00 開会挨拶
10:10 基調講演 五重塔の歴史(仮題):濱島正士(別府大)
11:10 報告 地震被害の歴史・研究史:藤田香織(都立大)
12:00 休憩
13:00 パネルディスカッション第1部:「耐震性の諸説」
      司会:河合直人(建研)、副司会:腰原幹雄(東大大学院)
      パネラー:内田昭人(東文研)、大場新太郎(大阪工大)、
      窪寺茂(奈文研)、花里利一(大成建設技術センター)
14:15 試験体説明:宮崎忠仍(宮大工)
      実験概要・諸注意:箕輪親宏(防災科研)
14:30 振動実験見学
      飛鳥様式で作られた五重塔1/5模型(宮崎忠仍棟梁製作、高さ6m)の公開振動実験、
15:30 パネルディスカッション第2部:実験結果の考察
      実験結果の報告:都立大 藤田研究室
      パネラー(予定)同上
16:50 総括 坂本功(東大大学院)
17:00 閉会